書店の謎

書店員は他の書店にも行くの?
10人全員が答えた「本屋の巡り方」

文: 「本の話」編集部

知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、他の書店には行くの? というご質問にお答えします。

げっ、ウチで切らした売れ筋の在庫が……

 

岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)

 行く機会そのものは変わっていないと思います。学生の頃から雑誌やコミック・文庫の新刊発売日、または暇な時には、ブラブラ歩いて近所のミナミや、少し足を伸ばしてはキタ辺りを、古本屋さんも一緒に「何かおもろい本ないやろか?」そう思いながらハシゴしていました。書店員になって変わったことは「担当者目線」で見る様になったこと。店として新刊の中で一番に推しているものが何なのか、棚の商品構成やどういったテーマを意識して新刊以外に平積みしているか、といったことを気にしながら見ています。「あっ今月の新刊、この本推しなんや」「へーこう言う組合わせもあるなぁ」「げっ、ウチで切らした売れ筋シッカリ在庫持って売ってはる!」。気付かされたり感心したりそして凹んでしまったり。後たまにスリップが抜けていたら挟み直したり、帯をつけ直したりすることもあります(苦笑)。その反面、滞在時間は短くなったかも知れません。ゆっくり立ち読みに耽るようなことをやらなくなった気がします。

 

 

野坂美帆(紀伊國屋書店富山店)

 増えました。プライベートで書店めぐりをすることもありますし、所用で都会に行くことがあれば空いた時間はできる限り見て回ります。利用客としての視点、お店のつくり手としての視点と観察する要素が増え、見るのも楽しいですし、勉強になります。どのお店にも個性があり、同じお店、同じ棚は存在しません。どんなお店にも楽しむべき点、学ぶべき点があります。ですので、できるだけたくさんの書店に行き、見聞を広め、自分の仕事に生かすことができるように、と考えています。地元の書店や、金沢の書店にはよく行きます。

 

 

高橋佐和子(山下書店南行徳店)

 増えました。書店の棚は毎日変化します。「正解」や「終結」がないため、ジャンルに詳しい人が傍にいない場合、本の森の中を手探りで進むように、一歩一歩「挑戦してみる」ことしか出来ません。売上が達成出来ない月が続き「どうしたらお客様が見やすい棚、興味を抱いてくれる棚になるだろう?」と迷走したときは、テイストの違うお店やそのジャンルに強いお店(情報は出版社の営業の方が教えてくださいます)で実際に棚を見たり、棚から工夫や愛情を感じとることで、新たなアイデアが浮かびます。それを、自分のお店の客層や規模に合わせてイメージし直し、メンテナンスすることで飛躍的にお客様が気にしてくださる棚になるからです。勉強の意味もありますし、凝り固まったイメージを一掃する役割を担っているように思います。尊敬している書店員さんがいるお店にお邪魔する際は、事前に連絡をとり、時間を作ってもらうことで、じっくりその方の棚についてお聞きすることも出来ます。書店歴よりも、どれだけの想いを棚に注いでいるかで棚は輝くように思います。とても熱心な人は、県を飛び越えて様々なイメージを吸収しに行かれてます。本当に想いが強いのだなと思います。

 

 

山本善之(くまざわ書店大手町店)

 増えました。理由は
1) 市場調査:一般の小売業では、市場調査の内容の中心は価格チェックだと思います。他店より安いということが重要なバリューになる。日本の書籍は再販制度があり販売価格が固定されているので、私が他店で見るのは主に商品とサービスになります。見たことの無い商品を探し、思いつかなかった商品の並び・フェアに唸り、店員の対応・魅力的なノベルティーに感動する。それらをどうすれば自分の店に取り入れられるか考えるのはこの仕事の醍醐味です。
2) チェーン視察:昔同じマンション・間取りの部屋に住む友達の家で感じた「ここにテレビ置くの?!」みたいな小さい革命をくまざわ巡りで得ています。同じ仕組みの中でもそれぞれの店長によって店頭への表れが違ったり独自の取り組みがあったり、勉強は止められません。
3) より書店が好きになった:業界に詳しくなるにつれ、カリスマ的書店を知る機会も増えました。

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