知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、書店員さんは何冊くらい本を読んでいるのか、いつ読んでいるのか、について答えてもらいました。
毎日本に囲まれて仕事をしている書店員さん。読みたい本が次から次に出てきて困ってしまいそうです。
書店員の皆様は1カ月にどれぐらい本を読むのでしょうか?(千葉県 20代 男)
確かに気になる質問ですね。では、一気に聞いて行きましょう。
栗原浩一(あゆみBOOKS仙台青葉通り店)
私は月に4冊から5冊くらいです。だいたい週に1冊のペースです。時間帯は通勤の電車の中(15分くらいですが)と昼休憩の時間、休日の朝(習慣で休みの日も5時すぎには目が覚めるので)。現在、子育て真っ最中(5歳と3歳)。自由になる時間がほとんどないので、なかなかページが進みません。ただ、絵本だけは毎晩かなり読んでます(笑)。
岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)
それぞれの本のボリュームにもよりますが、文庫・新書を3~5冊にハードカバーの単行本を2~3冊程度でしょうか。新書であれば、元々好きな歴史を中心に、社会問題・海外時事・政治・経済と言った新書が得意とする分野を満遍なく、ハードカバーだと日本史西洋史東洋史の一般書を買い求めることが多いです。
野坂美帆(紀伊國屋書店富山店)
月によってまちまちです。30冊近く読む月もあれば、10冊に届かないこともあります。自分自身の楽しみとして読む本、と限定すれば、月に3冊ほどでしょうか。仕事上、知識を深めるために概説書や入門書を読み漁ったりすることもあり、そんな月は読書冊数も増えます。ちなみに、漫画や絵本を抜いた数を申し上げました。
内田剛(三省堂書店神田神保町本店)
僕の場合は平均1日1冊です。しかし読みたい本は無限にありますので、1日1冊しか読めない、というのが実情でもどかしいです。現在、2冊同時に読む練習をしていますが難航中です。
30冊! 凄いですね。ちなみに、2009年に発表された出版文化産業振興財団の「現代人の読書実態調査」では、1カ月に読む冊数について1冊と回答した人が29.2%と最多でした。一方、8冊以上は4.1%です。書店の棚の本の並びは、豊富な読書体験に裏打ちされていたんですね。
いつ本を読む? 電車で、バーで、夢の中で?
書店員さんは朝から晩まで忙しく働いてらっしゃると思いますが、いつ本を読む時間があるのですか?(神奈川県 40代 男)
二村知子(隆祥館書店)
私は、朝型なので、早朝や、通勤電車の中、食事の時など、仕事や、家事以外の時間に読んでいます。必要に迫られたときは夜中に読んでいます。
岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)
文庫・新書であれば通勤時間の電車の中や休憩時間といった外での隙間時間を、ハードカバーであれば家で過ごす時間を当てています。持ち運びに便利かどうか、が基準になっています。
野坂美帆(紀伊國屋書店富山店)
私は電車通勤ですので、通勤中に読みます。電車を降りてからも切りのいいところまで読みたくて、ホームに居座ってしまうことも。休みの日には家事の合間に漫画を読んだりします。バーなどでお酒を飲みながらの読書が一番集中出来るのですが、ここ半年ほどはそんな優雅な時間は過ごせていません。夜寝る前の読書は内容が頭に入りにくいと感じていて、あまり好きではありません。
富田結衣子(文教堂書店代々木上原駅店)
ちらっと読んで「これは!!」と思った作品や、ミステリー系、大好きな作家さんの新刊は家に帰って全ての用事を終わらせてから、ミネラルウォーターだけ手元に置いて集中して一気に読みます。ちなみに、その場合は睡眠を削ります。気が付いたら朝になっていたりすることもあり、驚きます。
内田剛(三省堂書店神田神保町本店)
お気遣いのあるご質問に涙がでてきます。ストレス解消が読書の時間でとても貴重です。通勤時間、入浴時間、食事休憩はもちろん夢の中でも読んでいます。
夢のなかで!? いったいどんな本を読んでいるのでしょうか(笑)。それぞれの書店員さんの読書スタイル、ご参考にしていただければ幸いです。
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