- 2013.04.25
- インタビュー・対談
「ニュースがわからない」不安を解消
「本の話」編集部
『池上彰のニュースから未来が見える』 (池上彰 著)
出典 : #本の話
ジャンル :
#ノンフィクション
,#政治・経済・ビジネス
――この本には池上さんの世界各国の取材も入っています。欧米はもちろん、中東やブータン、ソマリア、尖閣諸島まで。 こうした国と国の位置関係による国際政治、「地政学」が日本には足りないように感じました。
池上 たしかに「地政学」的観点が抜け落ちているかもしれません。「社会科」というのは戦後できた学科で、戦前は「地理」「歴史」でした。領土問題も、資源という条件なしにはわかりません。たとえば、日本最南端の沖ノ鳥島に港を建設する予算を国交省がつけました。海底資源の「宝の山」だからです。これに経産省が消極的なのは、不思議ですね。
――ところで、新聞やテレビのニュースがわかりにくいのはなぜでしょうか。
池上 現場の記者は取材先に褒められたいという下心もあって、つい専門的な原稿を書き、デスクも理解できるのでそのまま通してしまうんです。テレビのキャスターは「そんなこともわからないのか」と言われたくないので、つい知ったかぶりで読んでしまう。私も、NHKで全国ニュースを読んでいた時、経済部の原稿が「わかりにくい」と文句を言ったら、「わからないのは、お前がバカだからだ」と言われましたよ。それに、日本の新聞は宅配制度が前提なので、前日からの「続きもの」として、進展があった部分しか書かない。途中から読むとわかりにくいんです。アメリカの新聞は長い解説記事があるのが普通です。日本のメディアがなかなか改善されないので、私の仕事が成り立っています(笑)。
――「ニュースがわからない」と不安になる今のような時代は、人々にとって不幸なのではないでしょうか。
池上 東西冷戦の頃は大変な緊張関係でしたが、世界が二分され、すっきりした構造でした。現在はニュースの背後がもっと複雑です。それに世代の問題もあります。常識だと思っても、若い人たちには過去の歴史です。9.11も大学生はよく知りません。ビルに飛行機が突っ込む映像をトラウマになるからとテレビは放映しないからです。そうしたギャップを頭に入れて、伝えていかなければなりません。東工大で若い人に教えていて、それを実感しますね。
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