書評

徹頭徹尾、女子による女子のためのノワール

文: 高山 真由美

『ガール・セヴン』 (ハンナ・ジェイミスン 著/高山真由美 訳)

 さて、著者のハンナ・ジェイミスンについてもうすこしご紹介しておこう。

 ジェイミスンの小説はいまのところすべて、ナイトクラブ〈アンダーグラウンド〉を中心に据え、そこに出入りする人々のうちの誰かを主人公とするスタイルで書かれている。どこから読んでも、あるいはどれかを単独で読んでも支障なく読める。

 

1.Something You Are(2012)未邦訳

 本書『ガール・セヴン』にも登場するマークの同居人で、デイジーの恋人でもあるニック・カルアナが主人公。やむにやまれぬ事情からマークと同種の探偵兼殺し屋をしているニックは、ある男から、ティーンエイジャーの娘が行方不明になった、探してもらいたいと依頼される。やがて娘は死体で発見され、依頼は犯人探しへと移行するのだが、夫妻との付き合いが長引くにつれ、ニックは依頼人の妻に惹かれていく。

「十七で書いていたときにはもっとストレートなラブストーリーだった。だけど書き直しているうちにどんどんダークな話になり、もはやこれをラブストーリーと称するつもりはない」とジェイミスンはインタビューに答えて語っている。

 冒頭でご紹介したとおり、この作品は二〇一三年CWA新人賞の候補だった(惜しくも受賞は逃したのだが。ちなみにこのときの受賞作は、先日邦訳が刊行されたデレク・B・ミラー著、加藤洋子訳の『白夜の爺スナイパー』である)。

 

2.Girl Seven(2014)本書

 

3.Road Kill(2016.12 刊行予定)

 すでに出まわっているネット上の情報によると、やはり〈アンダーグラウンド〉に関わる人間が主人公ではあるものの、これまでの作品とはすこし趣きの異なるロードノベルらしい。

 

 ジェイミスンみずから語るところによれば、好きな作家はJ・G・バラード、グレアム・グリーン、ブレット・イーストン・エリス、村上春樹、アーネスト・ヘミングウェイ、ハンター・S・トンプソンだそうである。さらに、タランティーノの影響を受け、文体や暴力の描写に関してはデイヴィッド・ピースの影響を受け、そして誰よりもニック・ケイヴの影響を受けているという。マニック・ストリート・プリーチャーズやカサビアンを追って日本、アメリカ、ヨーロッパを旅してまわった時期もあったとか。いつかダークでツイストの効いたロマンティック・コメディを描いてみたい、ともいっている。ぜひ読みたい。先が楽しみな作家である。

(「訳者あとがき」より)

ガール・セヴン
ハンナ・ジェイミスン・著/高山真由美・訳

定価:本体910円+税 発売日:2016年08月04日

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