小説を書くことは漫才やコントをやることと同じ
──候補者が発表になった日は禅林寺に行かれたんですか?
又吉 行きました。6月は12日と19日と20何日に3回くらい行きました。桜桃忌のときはちょうど雨が降ってて、禅林寺にファンの方がいらっしゃるので短く挨拶だけして帰りました。
──墓石にさくらんぼを埋めてきたりは?
又吉 名前のところにさくらんぼを埋めるんですけどあれはいいんですかね? 何年か前に行ったときは毎年来てるおじさんが「1回供えたものは食べていいんだよ」と言いながら目の前で食べてはりましたけどね。1日くらい置いた方がいいんじゃないですかと言ったんですけど。
──綾部さんか芸人仲間にこういうふうにお祝いしてほしいという希望はありますか?
又吉 最近、綾部がよくコンビ格差とか言ってますが、こないだ2人きりのときに本当にはっきりと「時計を買ってくれ」と言われました。
──逆に綾部さんからお祝いでおねだりしたいものは?
又吉 綾部からは……なんでしょうね。でも次トークライブをするときにぜひお祝いの会にしたいと思うので、その日はお客さんでいっぱいになればいいなと思います。
──又吉さんにとって小説を書くということはどういうことでしょう。
又吉 僕にとって小説を書くことは漫才やコントをやることと同じで、自分がやりたいことですし、それで人を楽しませることができるという、こんなに良い循環のものはないですよね。確かにその途中で苦しいこともあるんですが、僕はそれも含めてすごく楽しんでいるところです。
──今回の『火花』は映像化の話が出るかもしれませんが、主役はこの俳優にやってほしいというような思いはありますか?
又吉 僕としてはすごく思い入れが強い作品なので、もし映像化されるとしたら、空気感みたいなものは反映されたらいいなあとは思いますが、具体的にこの役を誰にやってほしいみたいなものはありません。なかなか10年くらいは言われているので難しそうやなとは思います。
──さんまさんが……。
又吉 そうですね。さんまさんはオーディションだけ呼んでくれみたいなことはおっしゃってくださいました。
──受賞第1作はいつ頃出す予定ですか?
又吉 そろそろ書き始めたいんですが、おもしろいものを書きたいんでいつくらいの時期に出せるかはわかりません。でも必ず、恥をかいてもいいから次回作を書こうとは思ってます。
──いきなりですが先生と呼ばせてもらってもいいですか?
又吉 僕ですか? 僕は先生という感じではないんですけど。
──又吉先生!
又吉 いえいえ……。
──響きはどうですか?
又吉 又吉先生……ちゃんと受け取ることはできないですよね。先生から一番程遠い人間やと思いますし。『火花』で書いてることもそこから遠いことやと思いますし。
──1回目の選考でトップだったと山田詠美さんが言ってましたが。
又吉 とにかく読んでいただけたことがすごくうれしいです。もちろん至らないところやダメなところもあってその指摘も今後していただけるでしょうし、それを生かして『火花』を超えていけるものを作りたいと思います。
──最後に今の気持ちをひと言でお願いします。
又吉 めっちゃうれしいです。
※囲み取材の前に行なわれた芥川賞受賞会見の模様はこちら>>
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。