第24回松本清張賞を受賞した滝沢志郎さんの『明治乙女物語』が7月7日に発売されます。
選考委員絶賛の期待作は明治時代を舞台にした青春ミステリー
明治時代、鹿鳴館の踊り手が足りない時には、東京女子師範学校の生徒たちが招かれていたという事実をもとにした青春ミステリーです。
選考委員の中島京子さんは「候補作のなかでは、圧倒的。女子教育の黎明期、女学生の青春物語が生き生きとキャラクターがよく書き分けられている。他で書かれていないもの実在のものを大きく広げて大胆にフィクションにしている」と絶賛されました。
物語の舞台は、明治21年の東京。御茶ノ水の高等師範学校女子部に通う2人の女学生、咲と夏が主人公。男尊女卑の風潮がはびこり、「女が学問なんて……」と一部からは白い目でみられつつも、彼女たちは、時に挫折も経験し潑剌と教育者への道を歩んでいました。
ある日、学校で開かれた文部大臣・森有礼主催の舞踏会で爆破事件がおきます。犯人が新聞に寄せた糾弾状は欧風化を非難し、次は鹿鳴館を狙うと宣言。彼女たちは踊り手が不足したと鹿鳴館の舞踏会に招待されることに。伊藤博文枢密院議長や各国の大使など要人が集まる華やかな舞台に迫る危機を救うため、2人がとった行動とは。
アイドルグループの℃-ute(キュート)を思い浮かべながら書いた明治時代の乙女
滝沢志郎さんは島根県出身で、家電製品の説明書などを書くテクニカルライターをされています。受賞時のコメントでは「仕事が、情報を過不足なく伝えることの役にたった」と仰っていました。
そんな滝沢さんですが、文明開化の時代を舞台にしながらも、女性たちの姿を活き活きと描くために、アイドルグループの℃-ute(キュート)を思い浮かべながら書いたとか。ぜひ、創作の舞台裏も、物語の中から読み取ってみてください。
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