ラブとセックスはよく特集が組まれるほどの人気者。でも、ふだんはあまり仲が良くなく、楽屋も別々だったりする。
ラブはピースとコンビを組むこともあるが、セックスは一度もない。どちらかというと、ピースよりウォーとの相性がいいらしく、いつも誰かと競ってる。
ラブはそんなセックスに「数じゃないの、肝心なのはハートなの」と、諭してきたけど、一向に聞く耳を持たないセックス。このままじゃ近い将来、コンビ解消ってことにもなり兼ねない。ラブは悩んだ挙句、今は少し距離を置いて、ソロ活動を始めることにした。
「セックスさんがおられないと途端に上品な客層になりましたねぇ。いや、何もこれはセックスさんを批難してるわけじゃないですよ」
イベンターはそう言って喜んだが、ラブはやはりステージに物足りなさを感じていた。
かたや、セックスは前にも増して過激な発言や行動が目立つようになり、「何でもやればいいってもんじゃないわ、本当、下品ね」と人気は降下した。
「バッキャロー! オレがいなくちゃ何も始まらねぇーんだよ」
「それは良くわかってますけど、ここらでラブ姉さんに一度、詫びを入れられたらどうでしょう?」
「こ・・・・・・このオレ様におまえは説教するつもりか!」
弟子を引き連れ飲んだくれの日々。しかし、金の切れ目が何とやら、健康も害したセックスに近寄る者は誰一人いなくなった。
そんな噂を聞きつけたラブ。今がチャンスともう一度、新たな気持ちでコンビを組まないかと打診した。
「おまえが望むならオレは構わんけど」
そのエラソーな態度に変りはなかったけど、その夜ラブはセックスを迎え入れた。
「愛してる!」、「言うた尻からどこツッ込んでんねん!」
会場は再びラブとセックスの絶妙な絡みに大満足。
「やっぱこの上品と下品のコンビは最高ですな」と、評論家筋にも大受けだった。
・・・・・・なんてね。
人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた──。