【「ない仕事」を作るには? 画期的ビジネス本の登場(前編)】より続く
いままでない仕事は注文されようがない。それで企画立案、営業から接待まで一人でこなす「一人電通」方式をとるようになった、とみうらじゅんさんは言う。その成功例として「ゆるキャラ」ブームが到来する。
――みうらさんの「ない仕事」の代表といえば、名づけ親として有名な「ゆるキャラ」ですかね。
「ゆるキャラ」も、15年くらい前にネーミングを考えて、「ゆるキャラという世界がある」といろんなところに書いて、「ないでしょ?」と言われていました(笑)。しかも「ゆるい」という言葉が地方の自治団体を怒らせてしまい「うちのキャラはゆるくない!」とお叱りを受けることもありました。でも、イベントをやったり、いろんなことを続けていくうちに、今までなかった「ゆるキャラ」の世界がさもあるように見えてきて、しかも今までの常識が裏返って、「うちのキャラは本当にゆるいですから、雑誌で紹介してください」とまで言わしめた。「ゆるキャラ」は、「一人電通」の手法が成功した例だったと思います。
「ゆるキャラ」のような「サブ」なものを紹介するときは、自分をできるだけ抑えて、そのもの自体が「こんなに面白い」ということを前に出すように心がけてきました。「自分さがし」ではなく、「自分なくし」をするわけです。
今後も、世間に“誤解”が生じて、僕の提唱する「マイブーム」が「大ブーム」になることがあるかもしれません。でも“どえらいブーム”になって、「週刊文春」に叩かれるのも嫌だから、「一人電通」としては “どえらいことにならない程度のブーム”を起こせる手法を、考えていかないといけないってことですね。
――今回の本には、デビューよりずっと前の、小学生時代の作品も登場していますね。
この本に載っている「怪獣スクラップ」は、小学1年生のときに作り始めたものです。一人っ子で甘やかされていたので、出ている少年誌はほぼ全部買ってもらっていました。それを読まずして、気に入った怪獣の写真を切りとって、自分好みのレイアウトに変えてスクラップブックに貼り、さも自分が編集した本みたいな気持ちで眺めて完了する……という「スクラッパー人生」が、小1から始まったんです。
のちに、貼る内容が「仏像」になり、最終的には「エロ」になりました。一番長く続いているのが「エロスクラップ」で、一昨日の段階で448冊までいきました。この作業は、大学時代から35年間、雨の日も風の日も続けてまいりましたが、これだけは「仕事」にならないんです。もともとあるエロ本や雑誌のグラビアを切って再構成して貼っているわけですから、著作権や肖像権の問題が出てきますので、書籍化することもできませんしね。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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