友人を依怙贔屓して特別扱いしているのではないか――。加計学園の獣医学部新設に関するそんな追及の火の手を封じ込めるかのようにこの年の六月十八日、安倍内閣は重要法案審議を積み残したまま会期延長もせず、慌てて通常国会の幕を閉じた。だが、旧友への利益誘導疑惑は、鎮火するどころか、燃え広がるばかりだった。
ほとんどダウン寸前だった安倍を救ったのが、北朝鮮のミサイル発射だったかもしれない。疑惑や批判に対するだんまり作戦で、なんとか暑い夏を乗り切った。そして九月末の臨時国会開会に向けて手ぐすねを引く野党に対し、衆院の冒頭解散という奇襲に出る。
「所信表明演説も、代表質問も、党首討論もない、臨時国会の冒頭解散は日本の憲政史上始まって以来の暴挙だ」
野党はとうぜん森友・加計問題隠しの大義なき解散だと非難を浴びせた。が、当人は耳をふさいで、論点をずらした。二年後に上げる「消費税一〇%の使い道を問う」などという理屈を並べ、そのまま選挙戦に突入したのである。
安倍晋三がそこまでしなければならないほど追い詰められたのは間違いない。その最大の要因である加計学園問題とは、いったい何だったのか。首相の安倍と学園を率いる加計とは、いったいどのような間柄なのか。実は、国会やメディアが騒いだ割に、そこについては明確な答えを見かけない。
どんなときでも心がつながっていると安倍が自ら公言した「腹心の友」は、安倍にどのような影響を与えてきたのか。なにより半世紀以上もなかった獣医学部の開設を目論んだ加計に対し、安倍は何をしてきたのか。それらに正面から切り込んだ報道も見かけない。
安倍と加計はこれまで囁かれてきた以上に深く、結びついている。
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