「読者が楽しめる小説を、自分自身が楽しんで書くこと」
書下ろしの日々に伴走し、東野さんは苦しかったのではないかと、想像していました。ところが、今年8月の直木賞受賞者を祝うスピーチで、東野さんはこう話していました。
「エンターテイメント作家というのは、売れることを目的とせねばならない。そのためには、書きたいことを書いているのではだめなんです。何を書きたいかと考えたときに、読者が楽しめる小説を書きたいと思えるかどうか――。今、何が売れるのか、どんな物語が読者に楽しんでもらえるのか、ということを想像し、思いついたときに、その内容を『書きたい』と思えるようになれば、立派なエンタメ作家だ」
そして、こう強調していました。
「それを作家自身が、楽しんで書いているかどうかが大切なんです」と。
『沈黙のパレード』を執筆する日々は、苦悩だけではなく、楽しみでもあったのです。
帯の言葉を決める打合わせに際し、私は、「ガリレオ、帰還」「ガリレオ、再び」というキャッチフレーズを携えていきました。深夜のBARのカウンターで、東野さんは、「もう一声だな」と唸り続けていました。
そこで出てきたフレーズは、「ガリレオ、再始動!」
東野さんはこれからも、とことん考え、「自身が面白いと思う」ガリレオを書き続けてくれるのです。
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