
加藤 三田さんの『あしたのこころだ 小沢昭一的風景を巡る』は、よく調べて書いてありますね。
三田 ありがとうございます。私は小沢さんとは、ラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」での最後の約三年間、小説家と並行して台本を書かせていただいた縁で、短期間でしたが定期的な交流が生まれました。本では、小説とエッセイの間のような形式で、幼少期を過ごされた蒲田や、人生最後の旅で訪れた下諏訪温泉など、ゆかりのある場所を私が巡って起こった出来事や、感じた思いを綴っています。書くことを通じて、小沢昭一さんという人を少しでも理解したいと思っていたのですが、多面的で本質を探るのが難しい人ですよね。
矢野 おっしゃる通りです。僕と加藤さんも参加している東京やなぎ句会という俳句の同好会が出した『友ありてこそ、五・七・五』(岩波書店)という本の中で、変哲(小沢さんの俳号)の追悼エッセイの章があります。そこで柳家小三治さんが、色々な小沢さんの姿を羅列していて、結局よくわからないと書いている。たしかにどれもが小沢さんの顔なんですよね。その場その場に合わせて、色んな顔を見せていました。
加藤 僕は(旧制)中学からの同級生だから、ずうっと彼を見ているんですけど、昔から融通無碍でした。
こちらもおすすめ
プレゼント
-
『一人称単数』村上春樹・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2023/02/07~2023/02/14 賞品 『一人称単数』村上春樹・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。
イベント
ページの先頭へ戻る