書評

宇宙的肯定

文: 小川洋子 (作家)

『本・子ども・絵本』(中川李枝子 著 絵・山脇百合子)

『本・子ども・絵本』(中川李枝子 著 絵・山脇百合子)

 この一冊には、実にさまざまな子どもたちの姿が映し出されています。「とんでもない。まんいんです」と声をはりあげて毛布の中で身を寄せあう子たち。近視防止のため、自転車で家の周囲をぐるぐる走る子。絵本に出てくる森の家の扉を、そっと開けてみる子。「おみそ」扱いでも機嫌よく絵本の輪に加わって、お兄さんお姉さんに褒められる赤ん坊。美術書に出てくる泰西名画の文字から、ハタ画伯に興味を抱く少女。『ふたりのロッテ』をうばいあって読むきょうだい。不眠症のお父さんのため、枕元でお話を語って聞かせてあげる娘さん……。

 ページのあちこちから、元気いっぱいの笑い声が聞こえてきそうです。自分だけの世界の秘密を発見して見開かれた、小さな瞳の輝きが、一行一行を照らしているかのようです。ページをめくってゆくうち、そうした子どもたちの中に、遠い日の自分を発見することになります。私も彼らの仲間だったと気づきます。この本を読めば誰でも、かけがえのない子どもの自分と、再会できるのです。

本・子ども・絵本中川李枝子 絵・山脇百合子

定価:本体680円+税発売日:2018年12月04日


 こちらもおすすめ
書評加古さんとだるまちゃん(2016.12.24)