「過酷な撮影でした」「苦労というより、描くこと以外頭にない」　

トークイベントでは、2人の『ミラーマン』にまつわる失敗談・秘話の話に。

石田　美セン（東京美術センター）で撮っていたんですけど、建物がトタン屋根だったんです。暑い日にクランクインしたら、トタンから伝わってくる熱でサウナ以上に暑い環境で……。ある日、トタン屋根の上にスタッフ数人がホースで水をまいていて、「どうしたの？」って聞いたら「ちょっとでも涼しくなるように、トタンの熱を冷やしてるんです」って。なんて原始的なことをやってるんだろう、と思いましたね（笑）。

　撮影は過酷でした。ヘリコプターが飛び立つシーンって、砂塵がすごいですよね。砂が入らないように目をつぶって走ったら、レンズに頭をぶつけて気を失ったことも。それから湖に足元まで浸かって歩くシーンもあって、浸かってたら本当に冷たくて沈みかけて、助監督に助けてもらったこともありましたよ。

かたおか　とにかく苦労したというよりは、原稿を描くことしか頭になかったですね。無心で筆を進めていました。今回の電子書籍で、40数年ぶりに日の目を見まして、ツイッターなどで読者の方からお褒めの言葉をいただいたりしています。やっと初めて「あの時は良かったなあ」と実感しました。書き手としては最大の喜びで、当時の苦労は忘れてしまいましたね。改めまして、本当にありがとうございました。