ミステリーの名手である真保裕一さんが、久々に「誘拐サスペンス」に挑んだ。最新長編『おまえの罪を自白しろ』は、前代未聞の誘拐事件を描いた問題作となった。
衆議院議員の宇田清治郎は、総理がらみの疑惑を野党やメディアから糾弾されていた。そのさなか、3歳の孫娘が誘拐される。犯人の要求はなんと、「罪の自白」。タイムリミットは翌日の午後5時。動機は宇田家への怨恨か、それとも──。
誘拐事件に巻き込まれた宇田家は、「政治家一家」だった。長男の揚一朗は、埼玉県議。長女・麻由美の夫は、中央政界進出を狙って、現在は地元の市会議員を務めている。
次男の晄司は、会社経営に失敗し、父・清治郎の秘書になったばかり。
衆議院当選6回と、地元に君臨する宇田清治郎のもとに、恐ろしい脅迫状が届いた。
『宇田清治郎に告ぐ。
我々の要求は金銭ではない。
孫娘の命を救いたければ、明日五時までに記者会見を開き、おまえの罪を包み隠さず自白しろ。今まで政治家として犯してきたすべての罪を、だ。(中略)
なお、我々からの要求で記者会見を開くことになったと、表沙汰にすることは許されない。もし仮病などを使って会見がキャンセルされたり、警察の捜査が我々の周辺に及んだりした場合は、残念ながら悲しい結末が待っているだろう。
時間は残されていない。胸に手を当て、己の罪を見つめ、国民の前にすべてを自白しろ。』
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