『偽装不倫』はコミックの1巻が出てから知って、今は毎週のLINEマンガの更新を楽しみにしています。ドキッとするタイトルですが、主人公の鐘子（しょうこ）は不倫をしているわけではなく、独身なのに既婚者だと嘘をついたら恋が始まってしまい、本当のことが言えないまま事情が入り組んでいく……というもどかしいラブストーリーです。

　どうしてそんな嘘をついたの？と聞かれても、本人にもわからないと思います（笑）。姉に借りた服に入っていた結婚指輪を落として、それを拾ってくれた素敵な男性にあなたのものかと問われ、そうですと認めた。旅先で偶然言葉を交わした人と、まさか恋愛に発展するなんて思っていなかったから、とっさにそう言っただけ。とはいえ、自分が「何者でもない」ことが恥ずかしくて偽ってしまった、という心理もあったと思います。あとからでも、本当は独身だと告白してしまえばいいのにと思うけれど、自分に自信がなくて言えないのかもしれないですね。私自身とは違うけれど、愛おしく感じるし、応援したくなる女性です。

　宮沢氷魚さんが演じる丈（マンガでは「ジョバンヒ」）は、一見温度が低そうなのに情熱的で、初対面で食事に誘ったり、それは本心なの？と戸惑うくらいグイグイとアプローチするけれど、いざデートをしてみるとまっすぐな素直さがある……というギャップが魅力の人。“外国育ち”という設定がぴったりの雰囲気のある役者さんで、くしゃっと笑った顔など少年っぽさも垣間見えて、みなさんきっとキュンとすると思います（笑）。

　恋愛って冷静な人同士だとなかなか始まらないと思いますし、特に鐘子は生真面目で慎重な性格だから、意図しない場所で偶然生まれた恋じゃないと走り出さなかったのかなとも思いました。既婚者のふりをすることで少し大胆に振る舞えたのかもしれないし、隠している部分があることでお互いの本質が見えるということもあるかもしれない。真実じゃないところからスタートした二人がどれだけ本物の幸せに近づくことが出来るか、見守ってほしいと思います。