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本をまったく読まなかった少年が作家になった理由

本をまったく読まなかった少年が作家になった理由

『ガラスの城壁』刊行記念トークイベント


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

書店は「美術館」だ

 本の魅力といえば、装丁もたまらない。今回の『ガラスの城壁』の絵、素敵ですよね。書き上げた段階で、Re°さんにお願いしたいと思っていました。『イノセントブルー』のとき、単行本のカバーイラストを描くのは初めてだったそうです。

『ガラスの城壁』(神永 学 著)

『悪魔と呼ばれた男』は、原稿を渡したら、編集者は感想を言う前に「ぜひカバーはUV加工をつかって逆さ五芒星を。鈴木康士さんのイラストはカバーではなくて、口絵で」と言い出しました(笑)。触っていただけたらわかりますが、カバーの一部がボコッとしています。『ガラスの城壁』のカバーは、内容にあわせて、つるっとしていますね。

「心霊探偵八雲」シリーズは、紙質は厚くしています。また、行間も読みやすさを考えています。「天命探偵」シリーズも、新潮社らしい工夫があります。『浮雲心霊奇譚』はカバーをはずすと、未公開の絵があります。

 文庫本の装丁はどれも似ていますが、単行本の装丁はひとつひとつこだわりがすごいんです。細部にものすごくこだわっています。

 この前、京極夏彦さんの『姑獲鳥の夏』の限定特装版が発売されました。表紙は本革で、総金箔が施されていて、値段は10万円。妻を説得して、いざ申し込もうとしたら、残念ながら売り切れていた(笑)。辻村深月さんの『小説「映画ドラえもん のび太と月面探索記」』は、本を開けると、中の扉にどこでもドアがついています。ぜひ手にとって確認してみてください。

 書店って、面白いんです。最近、僕は「書店は美術館だ」とよく言っています。美術館によって絵の並べ方は全然違う。同じゴッホの絵を飾るにしても、並べ方によって、見かたが変わってくるんです。書店員さんは、本の並べ方をいろいろ考えています。だから、書店をいくつもまわると、新しい発見があります。いろんな楽しみ方をしてほしいですね。

【次ページ 『ガラスの城壁』は私自身の物語】

単行本
ガラスの城壁
神永学

定価:1,540円(税込)発売日:2019年06月27日

プレゼント
  • 『もう明日が待っている』鈴木おさむ・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/3/29~2024/4/5
    賞品 『もう明日が待っている』鈴木おさむ・著 5名様

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