小説は読者が読んではじめて完成する
僕は映画監督を目指していたこともあって、「本と映画の違いはなんですか」とよく聞かれます。
まず、ひとつめは時間。映画はどんな人が見ても2時間は2時間。でも、小説は人によって時間が変わる。2時間で読む人もいれば、1ヶ月かかる人もいる。自分のペースで作品と触れ合うことができるんです。
また、小説は、映画に比べて、圧倒的に足りないんです。映画はきれいな風景を映像でバンっとダイレクトに伝えられるんですが、小説は見せられません。ただ、小説は、文字だけのメディアであるがゆえに、読者が自由にキャラクターや情景をイメージできる。自分だけの世界観をつくれるのが何よりの面白さですね。小説は、読者が読んで、はじめて完成する。だから、映画化されたときに、原作のイメージと違う、あっていると意見が人によってはっきり分かれる。映像だと、金田一耕助シリーズは、古谷一行版、石坂浩二版、渥美清版とそれぞれにファンがいますよね。
広い心をもって、自由に楽しみ、自由に自分の世界に浸れるのが、小説の面白さであり、楽しみですね。
プレゼント
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。