「心霊探偵八雲」をはじめ、人気シリーズをいくつも書き続けている神永学さん。実は、少年時代は本をまったく読んだことがなかったという神永さんが、本の楽しみ方、書店の魅力を語った。
本を文学だと思っていた
少年時代、僕はまったく本を読まなかったんです。書店に行った回数はゼロ。自分のお金で本を買ったこともない。作家になってから講演会で母校に行ったら、図書室の先生に「あなたのことを図書室で見たことがない」と言われました。そりゃそうです、図書室に行かなかったんですから――(笑)。
なぜ本を読まなかったのか。“文学”だと思っていたからです。学校で学ぶべき学問のひとつだととらえていたんです。勉強が大っ嫌いだったし、性格がひねくれていたので、誰かに「やれ」と言われると、やる気をなくす。先生は「これくらい読んでおきなさい」とか、「読みなさい」とか、あるいは「これくらい読めなきゃダメよ」という。その言い方が嫌で、読まず嫌いでした。本に関する興味がまったくわかなかった。
高校生の頃は、国語の授業は全部寝ていました。卒業前の最後の授業で、国語の先生から「神永君、一回でいいから、私の授業も聞いてみてください」と言われたほどです。いま、その先生は僕の本も読んでくださっています。「心霊探偵八雲」の舞台にも来てくれて、「まさかあなたが作家になるなんて」とおっしゃっていました(笑)。
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