研修中の家庭裁判所調査官補、通称“カンポちゃん”の望月大地を主人公にした『あしたの君へ』が昨秋、文庫化された柚月裕子さん。この度、読書好きという林道晴最高裁判事のお招きで、最高裁判所を見学に訪れました。
林道晴最高裁判事 今日はお越しいただきありがとうございます。以前から柚月さんの大ファンだったのですが、『あしたの君へ』で裁判所の仕事をお書きくださったので、今回ぜひ最高裁判所にも来ていただきたいとお願いしたんです。
柚月 貴重な機会をいただきありがとうございます。地方裁判所は見学したことがありますが、今、初めて最高裁判所に足を踏み入れて緊張しております。林判事は、昔から小説がお好きだったのですか。
林 ええ。今でも週に1、2度は本屋さんに足を運びます。ただ、この仕事に就いてからは、あえてリーガルものを敬遠していた時期があったんです。
柚月 それは、ご自身のお仕事に近すぎるからですか。それとも、「実際はこんなんじゃない!」と思ってしまうからでしょうか。
林 それは……後者ですね(笑)。でも、ある時期からまたリーガルものを読むようになりました。小説に登場する検事や弁護士、それに裁判官も、カッコよすぎたりして現実と違うこともありますが、逆に「こうあってほしいな、こうありたいな」という気持ちで読むようになったんです。そこで出会ったのが柚月さんの『最後の証人』でした。それ以降、柚月さんの作品は常に追いかけています。
柚月 ありがとうございます。昨年でやっとデビュー10年を迎えられました。今は、次の10年、どうやって書き続けようかと考えているところです。
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