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作家・柚月裕子、最高裁判所へ! 最高裁判所訪問ルポ(1)

作家・柚月裕子、最高裁判所へ! 最高裁判所訪問ルポ(1)

『あしたの君へ』(柚月 裕子)


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

 柚月さんは、小説を書く時に、読者層を意識されることはありますか。

柚月 特定の層を狙って書くということはないですね。ただ、原稿を掲載してくださる媒体の傾向は考えます。

 なるほど。というのも、裁判官をやっていると、判決を書く時には必ず、判決を受ける誰かの顔を思い浮かべるんです。ですから、多くの読者に向かって書くというのはなかなか想像がつかなくて、そこが小説家のすごいところだなと思います。

柚月 『あしたの君へ』は、私の作品の中では主人公の年齢が若いのですが、そのためか、若い方からも感想をいただきました。特に、『あしたの君へ』を読んで家庭裁判所調査官という仕事を知りました、という感想をいただいた時は嬉しかったです。いつか『あしたの君へ』を読んで家裁調査官になりました、という方が出てきてくださったら最高ですね。

 続編も期待しています。そして、もしお願いできるなら――続編にはぜひ裁判官も出してください(笑)。もちろん、主人公は家裁調査官の望月大地です。彼の成長を楽しみにしています。

柚月 続編では、大地も家裁調査官補の「補」がとれて、カンポちゃんから一人前の家裁調査官になっているはずです。その時は、一緒に働く仲間として、裁判官も登場させたいと思っています。

大ホールの説明を受ける柚月さん。高い天井からは自然光が差し込む。
大法廷の裁判官席で、緊張の面持ち

柚月裕子
1968年岩手県生まれ。2008年『臨床真理』で第7回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大薮春彦賞を受賞。16年『孤狼の血』で日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。18年『盤上の向日葵』で「2018年本屋大賞」2位。週刊文春にて「ミカエルの鼓動」連載中。

林道晴
1957年生まれ。1980年東京大学法学部卒業。82年判事補任官。その後、東京地裁、最高裁民事局、厚生省年金局企業年金課、札幌地家裁、東京地裁において勤務。2014年最高裁首席調査官。18年東京高裁長官。2019年9月より最高裁判所判事。

 

文春文庫
あしたの君へ
柚月裕子

定価:748円(税込)発売日:2019年11月07日

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