全国のミステリーファンのみなさま、こんにちは!
「読書の秋」「謎解きの秋」ということで、力作、話題作が書店を賑わせる季節になりました。とても読み切れない! と、うれしい悲鳴を上げている方も多いのではないでしょうか。
この「文春ミステリーチャンネル」は、文藝春秋が毎月刊行している書籍・雑誌のなかから「ミステリー(推理小説)」に特化した新作情報を月イチ発信していきます。どうか読み逃しがありませんように、チェックリストとして活用してください。
【単行本】
□中山七里『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』
□スティーヴン・キング&オーウェン・キング『眠れる美女たち』上下(白石朗訳)
□C・J・チューダー『アニーはどこにいった』(中谷友紀子訳)
デビュー10周年を迎え、12か月連続新刊刊行中の中山七里さん。ミステリー史上最高齢のコンビ探偵が活躍する人気シリーズ「静おばあちゃんと要介護探偵」の第2弾『銀齢探偵社』がついに登場です。元高裁判事の高遠寺静(80歳)と、中部経済界の大立て者・香月玄太郎(70歳すぎ)のふたりが、高齢ドライバー事故、認知症のもたらす家族の悲劇といった社会問題と対峙するのですが、事件の背後に、静を狙う強烈な「悪意」の存在が見え隠れして――強烈などんでん返しを楽しめるオススメの1冊!
10月は、スティーヴン・キングの新作が文庫を合わせて2作(3冊)も刊行される「キング祭り」。単行本上下巻計900ページ超の大作『眠れる美女たち』は、女性だけが眠りについてしまう「奇病」が蔓延し始めた世界を描くパンデミック・ホラーです。女性たちが次々に眠りの世界に沈み、不安と恐怖にさいなまれる男たちがとり残されます。しかし町には、世界でただひとり、眠り病の災いを逃れた謎の女が――。共著者に名を連ねるオーウェンは巨匠スティーヴンの次男で、文芸系の著作が高い評価を受けた小説家。世界最強の作家父子がタッグを組んだ本作は、圧倒的なストーリーテリングと描写力で、400字詰め原稿用紙2000枚超の長さを「イッキ読み」させてくれます。
キング絶賛の『白墨人形』でミステリー界を震撼させたC・J・チューダーの第2作が『アニーはどこにいった』です。俗に「2作目のジレンマ」などと言いますが、チューダーには無縁の言葉。本書は『白墨人形』以上の恐怖とミステリーとしての大胆さを備え、小説の味わいを豊かにする遊びも増量された傑作となりました。幼い頃、妹とともに町の廃坑で恐怖を体験した主人公が「同じことが起きようとしている」とのメッセージに呼び出され、帰郷するところから物語の幕が開きます。熱烈なキング・ファンの著者らしく、本書は、ある「キングの初期の名作」をミステリーに組み込んだらどうなるか? という大胆な実験に挑んだ作品でもあります。今年のベストミステリーとしてイチオシです!
【文春文庫】
□石田衣良『池袋ウエストゲートパーク ザ レジェンド』
□スティーヴン・キング『マイル81 わるい夢たちのバザールI』
□スティーヴン・キング『夏の雷鳴 わるい夢たちのバザールII』
ついにTVアニメ放送がスタートした「池袋ウエストゲートパークシリーズ」。初期から最近作まで、読者を虜にした伝説のエピソード8編を厳選した傑作選『ザ レジェンド』が刊行されました。あらゆるものをカウンターで数え続けずにはいられない少年ヒロキを描いた初期の名作「少年計数機」はじめ、感涙必至のベスト・オブ・ベスト。ファンの方はもちろん、シリーズ入門としてもおすすめです。
単行本『眠れる美女たち』に続いて、文庫でも「キング祭り」開催中! スティーヴン・キングといえば大長編の作家ですが、短編を書くのも大好きで、『マイル81』と『夏の雷鳴』は、第6短編集『わるい夢たちのバザール』収録の20作を10編ずつ分冊したもの。キングらしいとんでもないアイデアを見事に料理した奇想ホラー「マイル81」で幕を開け、世界の終わりを静かな筆致で綴ってゆく美しい1編「夏の雷鳴」でリリカルな余韻とともに幕を閉じる、屈指の名短編集2冊です。レイモンド・カーヴァーにオマージュを捧げる「プレミアム・ハーモニー」、この世に存在しないはずの小説が読める電子書籍リーダーをめぐる「UR」、キング史上最大のバカ話「酔いどれ花火」(映画化されるそう!)など、快作・怪作・傑作がひしめきあって読む者を一瞬たりとも退屈させません。創作の秘密を明かすキング自身の解説までついた贅沢設計。必読です!
【オール讀物】
□赤川次郎「失われたハネムーン」
□石田衣良「グローバルリングのぶつかり男」(前編)
第100回オール讀物新人賞の発表号(11月号)からは、ともにオール讀物推理小説新人賞出身の赤川さん、石田さんの人気シリーズをお届けします。
デビュー以来43年にわたって書き続けられている「幽霊シリーズ」最新作「失われたハネムーン」は、新婚旅行先のホテルに夫がかつて関係をもった2人の女性が同宿し“修羅場”と化すところから始まります。やがて深夜、宇野警部と夕子の宿泊する部屋がノックされ……。
「IWGPシリーズ」新作が描くのは、女性や子どもを狙ってすれちがいざまに身体をぶつけてくる「ぶつかり男」。池袋西一番街の焼肉屋「京城楼」の晴美バアが転倒して入院、怒りに燃えるマコトは、タカシやGボーイズとともに黒ずくめの男を追うことに――。
以上7作、駆け足でご紹介しました。
ミステリーは私たちの大切な友人です。本欄では、毎月、ミステリーの「いま」を感じられる作品をどんどんご紹介していきます!
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<中山七里インタビュー> 暴走老人と元判事の迷コンビ誕生
2019.01.23インタビュー・対談 -
中山七里作家生活10周年記念 限定オリジナル書き下ろし小説プレゼント+「あなたが小説のキャラになる」キャンペーン
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恐怖小説から抱腹絶倒のホラ話まで――物語の珠玉の詰まった福袋
2020.10.14書評 -
つねにINGの物語
2020.10.07コラム・エッセイ -
【新刊案内】文春ミステリーチャンネル(2020年9月分)
2020.09.28文春ミステリーチャンネル
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。