おひとりさまでも、認知症でも大丈夫。慣れ親しんだ自宅で幸せな最期を迎える方法
- 2021.01.20
- ためし読み
『おひとりさまの老後』(法研、2007年/文春文庫、2011年)がベストセラーになってから、はや一三年。
わたしの「おひとりさま」シリーズも、『男おひとりさま道』(法研、2009年/文春文庫、2012年)『おひとりさまの最期』(朝日新聞出版、2015年/朝日文庫、2019年)と続いて三部作に。「最期」までくれば完結、ふつう「最期」の後はないものです。
ですが、わたしはまだ死にそうな気がしませんし、さあて、次はどうしようか、と考えたのが、『おひとりさまの死後』でした(笑)。ホンネをいうと、わたしは生きてるあいだのことにしか、関心がありません。死後の世界などまっぴら。葬式やお墓などの「終活」にも、何の関心もありません。葬儀は密葬で、遺骨は散骨してほしい、と遺言状には書いてありますし、遺言執行人も指名してあります。散骨場所は国内某所、たいしてめんどうな場所ではありません。そのくらいのことを頼める友人もいますし、少々の迷惑をかけてもいいでしょう。
とはいえ、それまでにたどる時間が、相当長そうです。社会学者の畏友、春日キスヨさんが『百まで生きる覚悟 超長寿時代の「身じまい」の作法』(光文社新書、2018年)を書きました。それによると90歳を超えて生きる確率は、男性が4人に1人以上、女性が2人に1人以上だとか。今や百歳越えの長寿者も全国でおよそ8万人。わたしもあなたも、かなりの確率で、長生きしそうです。
『おひとりさまの老後』を書いたときには、わたしは58歳。
その後、高齢者の仲間入りをして、今や72歳の堂々たる前期高齢者。あと3年で後期高齢者になります。
まだ死にそうな気がしない、と言っても、たくさんの高齢者を見てきた経験からは、今から最期までに待ち受けているのは、春日さんのコトバによれば「ヨタヘロ期」こと、「ヨタヨタ」→「ヘロヘロ」→「ドタリ」の要介護期。『おひとりさまの最期』を書いたあとの、わたしの次なる目標は、「要介護認定高齢者」になること、でした。
それというのも、よおーし、ホンモノの要介護者になって、当事者目線から情報発信してやるぞお、というものでしたが、実際になってみれば、そんな気力・体力があるかどうかはわかりません。尊敬する大先輩、樋口恵子さんが近著『老~い、どん! あなたにも「ヨタヘロ期」がやってくる』(婦人之友社、2019年)のなかで、ご自身の「ヨタヘロ期」について、書いておられます。み~んな当事者になって、「介護される知恵」を分かち合う時代がすぐそこまで来ています。
『おひとりさまの最期』を書いたあとも、現場は刻々と変化しています。本書は、その後の変化を視野に入れて、次のステップをご一緒に考えるための手がかりにしたいと思って書きました。
最後までおつきあい下されば幸いです。
(「はじめに」より)
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