『平場の月』『にぎやかな落日』など数々の作品で鮮烈な印象を残す朝倉さん。9月19日に発売された最新作『よむよむかたる』は、自身の母の参加する「ちいさな集まり」に着想を得た心温まる小説です。

　喫茶シトロンに毎月集まるのは、下は78から上は92歳までの6人の老人たち。本を片手に「ヤァヤァ、どうも、どうもでした」と集まれば、思い思いに本を朗読し、感想を述べあう。仲間の声に耳を傾け（傾けないことも多々）、自由で和やかな（時に剣呑な）時間が流れてゆく――。　

　そんな読書会を巡る新刊には、発売前に見本版を読んでくださった書店員さんから反響が続々。全国から届いた感動の声をお届けします！（第9回／全10回予定）

久美堂玉川学園店　松原沙莉さん
とても心温まり、読書会を通して読書のおもしろさも伝わる小説でした。

別所書店修成店　松葉幸恵さん
私の母も町の図書館で定期的に開かれる読書会に参加しているので、身近な話として手に取りやすかったです。それにしても、作品に登場する会のメンバーは描写が、これでもか!!と言わんばかりにイキイキしていて、まるで目の前で喋っているみたいでした。
5章の「冷麦の赤いの」で美智留さんが語るエピソードには、『平場の月』を思い出して涙腺がゆるみました。名もなき人たちの人生をさらりとドラマチックに見せるところが好きです。

宮脇書店ゆめモール下関店　吉井めぐみさん
歳をとった自分にもこういう集まりがあると嬉しいなという気持ちでいっぱいになった。
理想だけでなく現実もしっかり描かれていて今どこかで開催されている読書会に想いを馳せる。

平安堂あづみ野店　石田奈津子さん
本好きにとって自分の好きな本について語ること、皆で共感し合うことは幸せを分かち合う事なんだと思う。それは歳を重ねても変わらない。
むしろ、たくさんの人生経験をしたからこそ、より物語を深く味わうことができるのだ。

八重洲ブックセンター　宇都宮パセオ店　髙野典子さん
まず「坂の途中で本を読む会」というグループ名がとても素敵！（個人的にツボ）
いろいろなことが少しずつ積み重なって、なんだか疲れたな……という時に、ナナメに傾いた身体と共にちょっとの間支えてくれるような、そんな作品。
タイトルの『よむよむかたる』も何度も呟いていると、不思議なことに回復の呪文に思えてきて、気づくと前を向いていられるのだ。

喜久屋書店大和郡山店　森谷哲さん
出だしから「これはいいぞ、いいぞ」と言いながら読みはじめ、読み終わったあとは「やっぱり最高でしたー」と余韻に浸りました。
主人公の安田が読書会の老人たちに関わってゆく様子は、まさに「だれも知らない小さな国」のコロボックルたちに迎え入れられる「せいたかさん」のようでした。
登場人物の中ではシルバニアとしょーこ組がよかったです。

蔦屋書店茂原店　松浦直美さん
ちょっとポンコツでも、イビツでも、ガタがきてても。
記憶があいまいだったとしても、いーぢゃない。
笑顔はピカピカだ。読むと語るがつなぐ物語。元気に歳をとりたい!!