書名(かな) | じゃないほうのうたいかた |
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ページ数 | 216ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 上製 上製カバー装 |
初版奥付日 | 2025年08月30日 |
ISBN | 978-4-16-392006-1 |
Cコード | 0093 |
落合南長崎の独立系カラオケ店「BIG NECO」では、今日もドラマが巻き起こる。
「カラオケの再現映像に出ていそうな女」と過去2回言われたことのある池田。
音が鳴らないトランぺッター・加賀と、その恋敵・サナ。
反抗期の娘と暮らす、元俳優の佐藤待男。
74歳にしてカラオケでアルバイトをする謎の老人・石崎さんと、
石崎さんを心配する指導役アルバイター・小野。
「E.YAZAWA」のステッカーを集め続ける、売れない作家・染井暖。
うだつのあがらない凡人たちが起こす、ちょっとした人生の奇跡ときらめき。
穂村弘さん――
「夢を諦めてはいけない、何者かにならなくてはいけない。
そんな声がずっと聞こえていた。
世界には自分しかいなかった。
でも、本書を読み進むうちに、呪いは薄れてゆきました。
そこは未知の世界でした。
自分のほかにも人間がいた。
何者かわからない住人たちに奇妙な親しみを覚えました」
柚木麻子さん――
「カラオケボックスでの出来事は、言語化されることは滅多にない。本作は、あの数々の奇跡をとらえ、ときほぐし、我々がなんでカラオケを愛するのかを、ささやく、のではなくハンドマイクで熱っぽく伝えてくれる」
佐伯ポインティさん――
「人生の憂鬱に抵抗するには、魂に叫ばせてあげるのが一番だ。
人生いろいろある登場人物たちがカラオケを通して、真っ直ぐ希望を歌うJ-POP歌手たちに元気をもらう姿は、受けた光を乱反射するミラーボールのように美しくて愉快!」
エピローグで明かされる、本書全体を通した仕掛けには思わず笑ってしまうこと間違いなしです。
1986年生まれ。秋田県出身。青山学院大学文学部卒。
「ひどい句点」で、2016年オール讀物新人賞を受賞。
2019年、同作を収録した『プルースト効果の実験と結果』で単行本デビュー。表題作は杉江松恋氏に「2018年恋愛小説短編のベスト」と評された。
他の著書に、第1回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞にノミネートされた『料理なんて愛なんて』や、『ここにあるはずだったんだけど』がある。
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愛のコメント、
続々と
そんな声がずっと聞こえていた。
世界には自分しかいなかった。
でも、本書を読み進むうちに、呪いは薄れてゆきました。
そこは未知の世界でした。
自分のほかにも人間がいた。
何者かわからない住人たちに奇妙な親しみを覚えました。
でも、そうした奇跡はカラオケの外に出ると泡のように消えてしまう。言語化されることは滅多にない。本作は、あの数々の奇跡をとらえ、ときほぐし、我々がなんでカラオケを愛するのかを、ささやく、のではなくハンドマイクで熱っぽく伝えてくれる。
声の小さい者でもエコーのかかったマイクで歌うことで、
それは他人に届くボリュームになる。
カラオケは歌う者を数分間主人公にしてしまう魔法の小部屋なのだ。
“人生いろいろ”ある登場人物たちがカラオケを通して、
真っ直ぐ希望を歌うJ-POP歌手たちに元気をもらう姿は、
受けた光を乱反射するミラーボールのように美しくて愉快!