書名(かな) | そらいろのはれるや |
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ページ数 | 272ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 軽装 並製カバー装 |
初版奥付日 | 2025年10月10日 |
ISBN | 978-4-16-392026-9 |
Cコード | 0093 |
人を好きになること。その人のなかに飛びこんでいくこと。
あんな怖いことをよくやったね自分。
「好きだ」と言ってくれる男と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。
恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。
目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。
一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。
◆◇あらすじ◆◇
夫を亡くし、10年間の結婚生活に終止符が打たれた恵美は、夫の残した別荘に暮らしている。心は悲しくもせつなくもないけれど、思い出すと目から自動的に涙が零れる。
自分が、女を好きなわけがない。そう納得させたくてした結婚だった。
ある日、隣に画家の女性が越してきた。絹香と名乗る彼女と行き来するうち、恵美は自分の胸の奥の痛みに気づく。絹香もまた、怒ったように言う。
「恵美さん、旦那さんという人がいた人だったんだ」(「海鳴り遠くに」)
高校を休みがちになった僕の家へ、夏休みの間だけはとこの桃子さんがやって来ることになった。両親の離婚により始まった母との2人暮らしにも慣れ、告白されて彼女もでき、〈幸福が加速している!〉はずだったのに……。(「風は西から」)
自分は「普通」ではない。だから木に化ける蛾のように擬態を続け、「普通」の人間なのだ、と思い込もうとした。
そうして70手前になった学校清掃員の老人はある夏、昔想いを寄せた友人によく似た少年に出会う。「男女(おとこおんな)」と呼ばれいじめられていた彼と関わるうち、自宅に招き食事をともにするようになる。だが、2人のひと夏の終わりはすぐそこまで来ていた――。(「赤くて冷たいゼリーのように」)
――直木賞受賞作『夜に星を放つ』を超える感動をもたらす全6編
読み終えた後、「いろいろあるけど、こんな人生も悪くないな」と顔を上げられる、至極の短編集です。
海鳴り遠くに
風は西から
パスピエ
赤くて冷たいゼリーのように
天鵞絨のパライゾ
雪が踊っている
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