累計150万部突破の「三河雑兵心得」シリーズ、26万部突破の「北近江合戦心得」シリーズに続き、歴史時代作家・井原忠政が描く「井原戦国三部作」の掉尾(ちょうび)を飾るのは「真田武士(もののふ)心得」シリーズ。

 これまで「天下を取る者」を雑兵や忠臣の視点から描いてきた著者が、最後に選んだのは「天下を奪われる者」の象徴、真田家だ。

 物語の主人公は、名胡桃城事件で両親を失い、巨躯に野太刀を携えた「野人」鈴木右近。その他、あわせて10人の主要人物をイラストと共に紹介する。

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鈴木右近(すずき・うこん)
本作の主人公。6尺(約182cm)を超える巨体と鋼の体軀をもち、刀身4尺8寸(約145cm)の野太刀を振るう。幼少期に名胡桃城事件で両親(主水・志野)を失い、裏切り者の叔父・中山九兵衛(なかやま・きゅうべえ)を仇として育つ。粗野に見えて心は純情、主君・真田信幸夫妻への思慕は生涯を支える灯火となる。


榛名大吉(はるな・だいきち)
右近の家来。農民出身ながら槍の技は無双。短身で体幅が広く、毒舌混じりの軽妙な饒舌は物語の潤滑油となる。

権蔵(ごんぞう)
右近の従僕。長身痩躯で無口。気弱だが誠実さが際立ち、右近の影の支えとなる存在。


真田信幸(さなだ・のぶゆき)
右近の主君。父・昌幸の嫡男で信繁(幸村)の兄。勇猛さと温情を併せ持ち、時に激情をのぞかせるも、理と道義を重んじる名将。


稲姫(いなひめ)
信幸の正室。本多平八郎忠勝の娘で、小太刀の名手。右近にとっては母でも姉でもあるような存在で、その慈愛と強さが彼を支える。別名・小松殿。


柳生宗章(やぎゅう・むねあき)
新陰流の剣豪。飄々とした風貌で掴みどころのない性格だが、右近の弱点を一瞬で見抜くなど実力は確かなよう。


柳生紗良(やぎゅう・さら)
宗章の娘。小太刀の達人。凛とした立ち居振る舞いの奥に、年若いながらも強い意志を宿す。


真田昌幸(さなだ・まさゆき)
信幸・信繁の父。智謀の限りを尽くす「表裏比興者(ひょうりひきょうのもの)」。狡猾さでは右に出る者はいないが、右近を苦手とする姿は謎めいている。

真田信繁(さなだ・のぶしげ)
信幸の弟。戦そのものを愛し抜く「戦オタク」。快男児的な性格は、兄信幸と対照的。


横谷左近(よこや・さこん)
信幸の小姓から昌幸配下へ。名の由来どおり「左右から信幸を支える」役目を負っていたが、右近を深く恨んでいる。

(イラスト・岡田航也)