男 これは単なる、回顧録じゃないよ。彼らがいたから今の自分がある、前に進めているんだということを伝える企画なんだ。
女 カズさんのサッカー人生そのものになりますね。いい、いい!
男 そうだよ。カズが通過してきたところにいた人が出てくるんだから。
女 たくさんいますね。
男 いやいくらでもいるよ。
女 うわー、長い連載になりそうですね。いつか本にしたいですね。
男 本にするための企画だよ。そのときは、とっておきの人を入れよう。家族からとかさ。
女 おおお。最高ですね。でも、カズさんはこの企画に賛成してくれるかな。
男 ちゃんと説明すれば、意図は分かってくれるよ。やってもらおうよ。
女 そうですね、これはナンバーでも今までにない企画だし。ぜひやりたい。
男 タイトルだな。
女 タイトル大事ですね。うーん。
男 「カズへの手紙」は?
女 ストレートでいい! Dear KAZUって英語でつけましょう。
車内アナウンス――
「まもなく終点東京です。……今日も新幹線をご利用下さいまして、ありがとうございました」
男 3時間、しゃべりっぱなしだったね。大丈夫? 編集部で企画通る?
女 絶対通します。
それから9年後――。
女 すごく厚い本になっちゃいました。
男 いいんじゃない? 全部で何人?
女 53人。それにカズさんのふたりの息子さんを入れて55通の手紙です。
男 狙い通りのものができたね。
女 あったかいんですよ、この企画。カズさん自身があったかい人だからできたんです。カズさんでしか成立しない企画でした。
男 でした、ってナンバーの連載、終わっちゃうの?
女 いやいや終わりませんよ、まだまだ。
男 よかった。これからもカズをよろしくね。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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