『私たちはたしかに光ってたんだ』(金子 玲介)

 高校生時代に組んだ4人組バンド〈さなぎいぬ〉の成長とその10年後の現在を、“元メンバー”の視点から描いた青春小説『私たちはたしかに光ってたんだ』。『死んだ山田と教室』でデビューし、本屋大賞にもノミネートされた新鋭・金子玲介さんによる話題作です。

 書店員のみなさんが本作に寄せた応援コメントをご紹介します。(全5回中の2回め)


心臓が口から飛び出るんじゃないかと思うくらい、ギューッと胸を締めつけられた。こんなにもまっすぐに全力を注ぎ込める夢があるなんて。仲間みんなで一緒に走って走って、やがて1人だけ立ち止まる。1人だけ「頭打ち」? 駆け抜ける仲間の背中を見つめるだけ。ままならなさに、窒息しそうになる。やっぱりそれでも、さなぎいぬにはずっと輝いていてほしい。こんなに強烈な光を浴びたら、もうこの先何も見えなくなる。青春のあの瞬間は、ずっと終わらない。終わらないで。祈って祈って、頭が真っ白になったラストシーン。さなぎいぬの曲が全身を貫いた。燃え尽きた。
紀伊國屋書店天王寺ミオ店 西澤しおりさん

私バンドとか大好きなんです。最近ではBray meとかHump Backとか聴いてます。「ふつうの軽音部」も読んでてそのプレイリスト聴いてます。そんな時にこんなバンド青春小説……!! 胸熱すぎる……! さなぎいぬ。聴きたい……。光とボトルシップ聴いてみたい……! 主人公瑞葉の「バンドを愛してるが故に、自分のため、バンドのため、バンドを辞める」という最大の葛藤と決意。自分は紅白に出れなくても、たしかに光っていた。最高に青春すぎる……青春過多……!! 4人がそれぞれ完成していくまでの努力や苦悩、楽しさ、喜びも、みんなでサイゼで盛り上がるところもあまりに青くて最高です。はやく聴かせてください。さなぎいぬの「光」。Apple Musicですか? Spotifyですか? ライブはどこですか? Zeppですか? 大阪城ホールですか? 聴きに行きます。バンドT買います。POPにバンドT作ろうかな(笑)。
大垣書店イオンモールKYOTO店 村瀬萌夏​さん

ただ純粋に楽しんでいたあのころも、あのころを思い出して今を踠きながら生きている自分も、すべてを肯定してもらった気がします。こんなにも自分の深いところにまで入り込んできた青春小説は、本作が初めてです! 演奏シーンの描写も、さなぎいぬの「楽しい!」が文面から伝わってきて、ずーっときらきら光って見えました。とにかく売りたい、と率直に思いました。
紀伊國屋書店イトーヨーカドー木場店 上原千尋​さん

物語全体が、もう光ってました! まだまだ彼女たちと光の中にいたい! 眩しくて、切なくて、でもワクワクが止まらない、心躍る作品でした。
明文堂書店高岡射水店 野口陽子さん

ラスト2ページ、ぎっしり詰まった文字を追うごとに、何の言葉も浮かばなくなった。ライブのアンコールで感極まった時の感情そのままだった。音楽が好きな人、バンドが好きな人はもちろん、恋愛小説が好きな人にも読んでほしい。瑞葉がベースに出会って、のめり込んで、拗らせて、どうしようもなくなって、身を引く。これはもう壮大な恋愛だ。
旭屋書店アトレヴィ大塚店 藤田真理子さん

バンド名を決めるところ(「さなぎいぬ」)、そしてバンドを臓器に例えるところ(ボーカルは顔、ギターが腕、ドラム脚、ベースが心臓)が面白かった。だんだんと有名になって行きついに紅白初出場。これこそバンド青春小説の傑作ここにありです。あなたもぜひ読んでこのバンドといっしょに成長して見て下さい。
くまざわ書店南千住店 鈴木康之さん

ちくしょう、抉ってくるなぁ! 心臓を鷲掴みにされるこの感覚、痛いぐらいわかり過ぎる……!
バンドを人体に例えるなら心臓はドラムだと自分は思うものの、まあそこは置いておいて。どの分野でも言えることですが、特に芸術は一定以上の世界に行くには努力だけでは絶対に無理、瑞葉の不運は耳が肥えてしまったこと、鈍感でいられなかったこと。自分もジャンルは違うものの音楽に見切りをつけた人間なので、後の人生は余生と思うことに激しく共感しました。瑞葉の場合は30代半ばまで足掻いた自分より早過ぎるし、余生と言うには随分ブラックですが。でもメンバーと切れてしまわずに仲良くできているんだね。必死に未来を思い描いて、自分のあの時の選択は間違っていなかったと肯定しようとしているんだね。もうとっくに忘れていたと思っていた15年前の感情が蘇ってきて涙が止まりません。
ジュンク堂書店旭川店 松村智子さん

読んでいて音が聴こえる。大好きです。みんなカッコ良すぎでしょ。
Academiaくまざわ書店橋本店 村上元康さん

“夢見ること”に正直な作品。 心臓鷲掴みにされたような切ない苦しみと、首絞められてんのかってぐらい苦しい葛藤と、全部ぜんぶ過去に置いてきた、若い頃のがむしゃらさが蘇りました。絶対に叶えてやるんだ!っていう夢に向けたひたむきさとか、全然今の自分が過去の自分を否定してるわけじゃないけど、思い出したくないんですよね。Facebook開くと同じ青春時代を過ごした友だちがイイ仕事就いて、役職あって、家庭築いて、ハッピーな週末過ごしてて……。それに対してこっちは……みたいな劣等感丸出しな感情曝け出しちゃう。しがない書店員の自分でもそうなんだから瑞葉は気持ちを整理するの本当に大変だろうなと思います。たぶん完全に整理しきるのは難しいかもしれない。好きで、好きで、好き過ぎる「さなぎいぬ」のために、朝顔のために脱退する。その後の「さなぎいぬ」はスターダムに日本の音楽シーンを駆け上がっていく。嬉しいけど、キツイよね。
青春が人生で何で特別なのか、その答えが詰まってました。
紀伊國屋書店仙台店 齊藤一弥さん

必ず成功するビジョンしか見えない10代の頃のガムシャラに突っ走ることを失速することなく走り抜けたような爽快感。こんな青春羨ましいに決まってる!
岩瀬書店富久山店 吉田彩乃さん

青春のはじまりと終わり、と思いきや終わりのその後も書かれた本作。あの時の選択は間違いじゃなかったんだ。そう自分を肯定したい時って人は誰しもあると思います。その気持ちをストレートに書いたものだと私は感じます。
正和堂書店 猪田みゆきさん

青春させてもらえました……! 全身どっぷりと浸からせてもらいました。音楽の事は全く分からないけれど、4人の発光で眩むような経験でした。
匿名希望

こんなに眩しくて、こんなに胸が痛い小説があるでしょうか――。会話と会話、歌詞と歌詞の間に、まとまりのない感情が挟まる。それは1秒ごとに偏移する感情を漏らすことなくうったえかけてかるようで珍しくも面白い読み心地。演奏中の疾走感や興奮がダイレクトに伝わってきて、瑞葉と一緒に『楽しい!』と思う。感情が音にのまれていくようで。決してサクセスストーリーではない。瑞葉は眩しい光のそのあと、その場所で、何を思うのか……。『光』『ボトルシップ』歌詞最高です。すっごくおもしろかったです!!
ジュンク堂書店名古屋店 長尾香依子さん

集まってはわちゃわちゃしゃべって、バンドに打ち込んで、よくあるザ・青春だった。朝顔が、オリジナル曲を完成させるまでは。朝顔の才能が部活動の延長で埋もれてしまうレベルじゃないことを知って、瑞葉たちにとって「さなぎいぬ」の演者であることの意味がかわってしまった。そして夢乃との出会い。瑞葉がなぜバンドを去ったのか、ずっと理由を想像してはどうにか続けられなかったのかなと思っていたけれど。ああ、こんな夢の終わり方もあるんだ。大切だからこそ、辞めるしかないんだ……。切なすぎる〜!!!! こんなふうにバンドを去って、後悔なんてできるはずない。正解が見えてしまったんだから。そのおかげでさなぎいぬはここまでこれたんだから。でも、だからってあの時放っていた光の美しさを忘れられるわけないよね。光は歳を取らないから、ずっとそこにある。あのときの光が今もまぶしく見えることは、今を否定することと同じじゃない。きっと、その光は前を照らしてくれる優しい光で、ずっと輝いているからこそ、これからもまっすぐ歩いていけるんだよ。あれ、なんかさなぎいぬの青春のきらめきに影響されて、ちょっとポエミーになってしまったかもです。さなぎいぬの歌詞が、音と光を連れてくるようで、めちゃくちゃよかったです!
紀伊國屋書店京橋店 坂上麻季さん


『私たちはたしかに光ってたんだ』冒頭ためし読みはこちらから