- 2015.05.28
- インタビュー・対談
『ラリルレ論』刊行記念 野田洋次郎インタビュー
「必死で生きてる皆さんに、読んで欲しいです」
「本の話」編集部
『ラリルレ論』 (野田洋次郎 著)
ジャンル :
#随筆・エッセイ
――文章を書いたことで、音楽にも影響はあるでしょうか。
うーん、どうなんだろう。でも絶対にあるんだろうな。篠くんが僕の文章にリズムがあると言ってくれたけど、自分はやっぱり音楽が好きだし、何をやっても通じる根っこがあって、俺のビートはこうやって流れているんだな、みたいなことは感じました。勢いに乗った時の俺のまくしたて方ってこうなんだよなとか、基本、根っこはどこまでも、どんなメディアで何をやっても同じなんだなと。
――文は人なりというけれども、野田洋次郎というアーティストの人格がよく出た本になったと思います。自分自身で気付いたことはありますか。
うーん、本当に面倒くさい人だと思いました(笑)。でも、本を一冊書いてみたら、人はきっとみんな自分が面倒くさい人だということに気が付くんじゃないかな。みんな自分は定まって生きていると思いがちじゃないですか。こんな食べ物が好きで、こんな趣味があって、こんな人が嫌いで、将来結婚する相手はこんな人が良くてとか。昨日生きている自分と今日の自分が同じだと思っているんですよね。数十年しか生きていなくても、自分がある程度一つの形になって、明確な一人の人間がいるという気になっているけれど、実はそんなことはなくて。常に出会う人や言葉に影響を受けて、好きと嫌いが入れ替わって、愛しあったり憎んだりし続けていくんだなということを改めて感じたし、その中でわずかに定まっていくものが自分の根っこなんだなと。
不思議ですよね。冷静に考えると、必要以上のことを書いているし、傷つける人も、期待を裏切る人もいるかもしれない。でも間違いなくどれも自分だったので、読んだ人が何を感じるかは楽しみで仕方がないです。そして僕を知らなかった人が僕をどう眺めて、野田洋次郎という人がどういうふうに映るのか、それも楽しみで仕方ないです。
――RADWIMPSのファンはもちろん読んでくれると思いますが、この本を読んでRADWIMPSを知る人もいると思います。それぞれに対してどう思いますか。
僕のことを知っている人は、念押しみたいな気持ちで読むのかな。歌詞やパフォーマンスへの一個一個の謎も解けるかもしれないし。でも、ファンの人達に対しては、身内感があるから恥ずかしい(笑)。はじめましての人に対しては、全然想像できないんですけど、でも、俺も必死で生きてますということは胸を張って言えるから、必死で生きている皆さんに読んで欲しいです。迷いもなく、苦しさもなく生きている人たちにとっては、あまり意味のない本なのかもしれません。なんか、苦しみだったり、違和感だったり、寝るときに感じる胸のつかえだったり、それでも明日起きて自分の行くべきところに行こうと思っている人たちに読んでもらえたら嬉しいです。
――今後も、野田洋次郎の書く文章を読めると考えて良いでしょうか。
曲作りとかが始まると、そっちに熱中してしまって他に思考を持って行けないことがあるからなかなかすぐには考えられないですけど、ふとした時に書いてみようかと思っています。時間を持て余したり、迷子になりそうなときに。でも、みんなも書いてみたらいいと思いますよ。日記を書いて、一年後、振り返って同じページに新たな自分を書いたとしたら、その距離が一年間の生まれ変わりや移り変わりだから。きっと楽しいと思います。
――ありがとうございました。まずは、沢山の人にこの『ラリルレ論』を読んで頂きたいと思っています。必ず、この本に救われる人がいると信じています。
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