昭和の百年、その日本史を米国抜きで語ることは不可能です。しかし、日本はその間、米国の正体を見抜いて、正しく対応してきたでしょうか。

 米大統領が常軌を逸した今こそ、歴史を見直し、真相を明らかにすべきです。

 米国のドナルド・トランプ政権は今、世界の諸国からひどく嫌われています。

 評価が高い米調査機関ピュー・リサーチ・センターは二〇二六年六月、興味深い調査結果を発表しました。世界三十六カ国の約四万二千人を対象に、米国が「信頼できる」かどうか、この四年間の変化の状況を調べたのです。

 その結果、西欧では、例えばドイツで「信頼できる」が二〇二二年の八三%から二〇二六年に三九%へと急減、「信頼できない」が一六%から六〇%へと急増するなど、大きく変化しています。ところが日本では、前者が七六%から五九%、後者が二三%から四一%と、いずれも比較的小幅な変化にとどまったのです。

 日本の方が慎重な見方をしているように見えるのはなぜか。日本は過去に、トランプ政権と同じほどの厳しい措置を科された記憶があるからだ、と考えてもいいでしょう。

 四十年前の一九八六年、ロナルド・レーガン政権は、当時世界一の競争力があった日本の半導体輸出を抑制するため、「日米半導体協定」に調印。翌年には「日本は協定を守っていない」と日本製パソコン、カラーテレビなどに一〇〇%もの制裁関税を課しました。

 それだけではありません。「プラザ合意」で円相場を急上昇させ、バブルが崩壊、日本経済は「失われた三十年」で未だに成長軌道を取り戻せていないのです。当時「ロン・ヤス関係」が称賛されましたが、レーガン政権が日本に便宜を図ったことはありません。

 一九五〇年代、鳩山一郎政権などは、日本防衛を明記していなかった第一次日米安保条約の改定を求めても、まったく相手にもされませんでした。ソ連や中国との経済関係拡大を求める鳩山政権などに対して、米国は極めて冷淡でした。戦後の欧米間のような固い絆はなかったのです。取材では米国立公文書館やニクソン大統領ら数人の元大統領の図書館などで公開された秘密文書を渉猟しました。「ハル・ノート」の真相や、京都に原爆が投下されなかった理由、沖縄返還が「尖閣問題」に発展した原因、田中角栄が失脚した真相なども明らかにしています。


「はじめに 秘密文書から見えてくる米国の正体」より