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場所や時代を越えて想いをつなげていく

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「本の話」編集部

『空色バトン』 (笹生陽子 著)

出典 : #本の話
ジャンル : #小説

――そのあと、1995年に講談社の児童文学新人賞に佳作入選してデビューされ、児童文学のジャンルでご活躍されています。小説の中でも児童文学を選ばれたのはどうしてですか。

笹生  児童文学は漫画家になっても、一般小説のジャンルで作家デビューしたとしても、いつか絶対書きたいと思っていたくらい、私の中で大事なものなんですね。児童文学をとりわけ読んできたというよりは手当たり次第いろいろなものを読んできたのですが、その中でも『長くつ下のピッピ』など岩波の海外文学がとても好きだったんですね。リンドグレーンの、頭がよくて軽妙洒脱な感じに惹かれたからかもしれません。家庭教師をはじめると、どうしたって子供との距離が近くなりますよね。30歳くらいで、そういう子供たちを見ているうちに、小説のネタが拾えるようになり、書けるようになったんです。初めて児童文学を書いて応募したら、佳作がとれてデビューとなりました。

――今回の連作短篇集の1話目は18歳の高校3年生の男子、セイヤくん。友達とエロしり取りの最中に、母親が突然死。ショックさめやらぬお通夜に、個性豊かなおばさん、学級委員とギャグ要員と女王様キャラの3人がやってきて――。男子高校生のまっすぐにおばかな感じが、悲しい中でも前向きで非常にユーモラスに描かれています。

笹生  私には弟がいるのですが、そのまんまなんですよね。ちょこまかと動いたり失敗したりして、弟を今まで観察してきたせいか、未完成の人でもかわいく思えていじりやすいんです。男の子の場合は自分が異性ということもあって自由に描ける。でも女の子を描く場合、女の子が好きな女の子をちゃんと描かないとまずい、とより気をつかいますね。私も含め、児童文学の作家たちがみんなよく言うのですが、男の子の方が物語の中で動いてくれて失敗もしてくれて、笑いも取りやすい。それは書いている側の、男の子はアクティブだっていう思い込みなんですけれど。

――セイヤくんは笹生さんの得意なキャラクターとのことですが、逆にこの6篇の中で難しかったという登場人物はいますか?

笹生  一番難しかったのはショーコちゃんですね。

空色バトン
笹生 陽子・著

定価:1260円(税込) 発売日:2011年06月11日

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