「劇団四季の芝居はセリフが聞き取りやすい」という話をお聞きになったことはありませんか。
その秘密は「母音法」「呼吸法」「フレージング法」という3つの独自メソッドにあります。
本書は、それらの方法論を具体的に提示していますので、日々のビジネスやコミュニケーションの場において、より良い話し方をしたいと考えている方に役立つことでしょう。
このページでは、その成り立ちの裏側を御紹介します。
聞き取りやすい日本語を
まだ「戦後」のイメージが残る昭和28年7月14日。フランス革命記念日のこの日に、本書の著者である浅利慶太さんを始めとする10人の演劇好きの青年たちが劇団四季を旗揚げしました。
当時の新劇は、難解なセリフを用いた舞台が主流で、「演劇では食べられない」のが当たり前という風潮もありました。対して、劇団四季では「八百屋が『野菜』を売って生計を立てるように、芝居屋は『芝居』で食べていかなくてはならない」という方針を打ち立てたのです。
当たり前のことですが、観客を楽しませれば、必ず劇場は賑わいます。そして、そのために最も優先されるべきは、観客が明確に聞き取れるセリフを話すということだと考えたのです。
以来60年。常に模索を重ね、観客から「聞き取りやすい」と褒められるセリフの話し方を体系化してきたそうです。
結果として、今では年間300万人の観客を劇場に呼び、『キャッツ』の30年を始め、『オペラ座の怪人』も25年、東京の『ライオンキング』は同一劇場で15年のロングランを続けている、今日の隆盛につながったことは御存じの通りです。