(6)ちょっと知的な旅に出る
その土地の歴史や文化に関する知識があるかないかで、旅の印象はかなり違ったものになる。そろそろ知的な旅をしてみたい、と考える女子にも“司馬本”は使える。おすすめなのは、1971年から週刊誌上で連載が始まった『街道をゆく』シリーズ。連載開始時の司馬遼太郎は作家としても人間としても充実期にあたる47歳。日本各地やアジア、ヨーロッパ、アメリカの国々の風景が歴史や文化に造詣の深い彼の眼を通して語られているため、日本を知るにはもってこいの歴史紀行エッセイである。
『街道をゆく』でもモンゴルを旅している司馬遼太郎だが、『草原の記』でも、歴史の激流に翻弄されながらも誇り高くしたたかに生きるモンゴル民族に対する深い知識と憧憬の念を綴っている。読めば、どこまでも続く蒼い空と緑の草原に立ってみたくなるはずだ。
初めてのアメリカ旅行を綴った『アメリカ素描』も秀逸。旅をしているのは80年代半ばのアメリカなのだが、普遍的な文化・文明論として楽しく読むことができる。
『街道をゆく』
「道」をキーワードに歴史や人物論を交えながらその土地の風景や人々の様子を綴る。日本とは何か? 日本人とは何者か? 考えながら読んでみたい歴史紀行エッセイ。第1巻は織田信長が逃げ込んだ朽木渓谷を訪ねた「湖西のみち」などを収録。(朝日文庫 全43巻)
『アメリカ素描』
「映画と小説で十分だ」と思っていたアメリカへ初めて旅することになった司馬遼太郎。観光名所や博物館ではなく、サンフランシスコのゲイの街やニューヨークの黒人街ハーレムなどで“生”のアメリカに触れながら、独自の文明&文化論を展開している。(新潮文庫)
『草原の記』
著者が旅先のモンゴルで出会った一人のモンゴル人女性。ロシア、満州、中国と国籍を変えざるを得なかった彼女の過酷な人生を通して、誇り高き遊牧民の歴史をたどった壮大な叙事詩。司馬遼太郎が少年の頃から抱き続けた蒙古への熱い思いが感じられる。(新潮文庫)
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