昭和文学の巨匠・司馬遼太郎の作品は、読んで楽しむだけじゃもったいない。読んだら仕事や恋に役立てる、それがアラサー女子流“司馬本”の楽しみ方!
(1)近寄りがたい上司のお気に入りを目指す
圧倒的に男性、しかも中高年の男性に愛読されてきた司馬遼太郎。英雄豪傑を主人公にした歴史小説が多いせいか、企業の経営者や政治家が愛読書に挙げるケースもよく見かける。そんな“司馬本”は、アラサー女子にとって近寄りがたい上司に近づくための絶好のコミュニケーションツールになる。チャンスを見て「最近、司馬遼太郎を読み始めたんですけど……」と話しかけてみよう。“司馬本”を読む女子はまだまだ少ない。「司馬遼太郎を読んでいるなんて、彼女は若いのになかなか見識があるな」と好感度が上がればしめたもの。
上司と語り合う“司馬本”には代表作として人気の高い『坂の上の雲』や、時勢を知りつつも武士の本分を貫いた藩士・河井継之助を主人公にした歴史小説『峠』のほか、司馬遼太郎の歴史観や日本人観がわかるエッセイ『この国のかたち』などがおすすめ。ただし“司馬本”好きな中高年男性には“語りたがり”が多い。その熱い語りに水を差さず、じっと耳を傾けられる忍耐強さで臨むべし!
『坂の上の雲』
準備期間を含め約10年の歳月をかけた大作。四国松山出身の秋山好古、真之兄弟を主人公に日露戦争の実態をたどることで明治日本の姿をあぶり出した。前半は真之と、その幼馴染でありもう一人の主人公・正岡子規の青春小説としても読める。(文春文庫 全8巻)
『峠』
慣例や常識にとらわれない型破りな性格と優れた先見性を持ちながら、あえて藩を挙げて新政府軍と戦う道を選んだ越後長岡藩の家老・河井継之助。幕末維新の英傑としてはほとんど知られていなかった継之助の名前を一躍有名にした作品。(新潮文庫 上中下)
『この国のかたち』
1986~96年に『文藝春秋』に書かれた歴史エッセイ。日本を知らない外国人に「日本とはどんな国か」を語る気持ちで書いたと著者。しかし歴史上の小さなエピソードから語られる日本人の「本質」は、それを忘れた現代人への伝言のよう。(文春文庫 全6巻)