知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、書店員が本当はやりたくない仕事です。
この作業がなくなったら楽だなーと感じるような大変な作業はなんですか? (東京都 20代 男性)
栗原浩一(あゆみBOOKS仙台青葉通り店)
出版社からのFAXやDMに目をとおすこと。1日に出版される書籍・雑誌の数も相当な冊数ですが、それを案内するFAXも相当な数です。これから出版される書籍の紹介から、今売れてます(何十万部突破)の案内などさまざまです。売上をたてるには重要な仕事ですから1枚1枚キチンと目をとおしますが、休みの次の日などはかなり萎えます。
大変だと思いますが、そこまで丁寧に心を込めて本を売っていただけるなんて、有りがたいことです。
しかし、そこまでしていただいても、売れ残る本はあるのです。
内田剛(三省堂書店神田神保町本店)
返品作業に尽きます。ぜんぶ売れてくれればいいのです。
野坂美帆(紀伊國屋書店富山店)
返品作業でしょうか。今のお店では荷物の出し入れ専門のスタッフがいるので、作業自体を自分ですることはありませんが、以前勤めていたお店ではやることもありました。また今のお店でも、担当の仕事の一環として、出版社に返品交渉を行うことはあります。仕事ですので、楽もしんどいもないのですが、売りたい、売れると見込んで仕入れた商品を返品するというのは、精神的負担の大きいことです。仕入れを誤ってしまい会社に対して申し訳ない、本のつくり手である出版社に対して申し訳ない、買い手を見つけることができなかった本たちに対して申し訳ない、興味のある商品を提供できなかったお客様に対して申し訳ないと、情けなく不甲斐ない気持ちをかみしめながら行う作業です。本が売れる、というのは、誰も不幸になる人がいないことなのだな、と思います。仕事中に落ち込むことはありませんが、返品交渉ばかりした日は、帰りの電車の中でどんよりしています。
「買い手を見つけることができなかった本たちに対して申し訳ない」という言葉が印象的です。そこまで個々の商品に思い入れを持って売ってもらえるなんて。
岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)
常備品の入替。書店が出版社との間で取り決めた特定のラインナップを、一定の期間(1年~2年)欠本・返品する事なく店頭に置くことを常備寄託と呼びますこの常備契約更新時の棚商品の入替でしょうか。店としては品揃えを維持する上で大事ですし、私たち売場の担当者にとっても常備品の入替は、棚の商品構成を見直したり、棚での本の居場所を覚えることが出来る良い機会です。そういった書店と書店員にとって大事な常備品の入替ですが、各出版社との契約に基づいて棚に置くすべての本が入って来るため、多い時には出版社一社で段ボール5箱~10箱分が入ってきます。そして追い討ちをかけるかのように、各社常備の入替時期が重なることが多いのです。通常業務に忙殺されたりスタッフに欠員が出たり、と入替作業に手が廻らないうちに、気付けばバックヤードに堆く積み上がっていく常備品が……。常備の重要性を理解していても、その状態を見ると時々目を背けて逃避したくなることがあるのです(ごめんなさいっ!)。
雑誌の付録つけとシュリンクは重労働
そして、やっぱりありました。本屋さん定番の重労働。
二村知子(隆祥館書店)
・付録つきの雑誌を紐でくくり、シュリンクする作業
・コミックスのシュリンク作業
高橋佐和子(山下書店南行徳店)
開店前に行う『雑誌の付録つけ』。この作業だけで多い日は慣れた人でも一時間以上費やします。雑誌の冊数と付録の数が的確であるかの確認(時々一冊足らないことがあります)。どこかになくならないように、紐で縛ったり、輪ゴムでとめたり、透明の袋(シュリンク)で包んだりします。そして、コミックのシュリンク。一冊一冊包んでいきます。本を機械に置くだけで自動で包んでくれるお店は楽なように思いますが、その分包む冊数が多いです(大手書店に良く見られます)。当店は規模が大きくないので、手動で本を機械に入れ、包んだ後出てきた本を受け取るのも手動です。ぼーっとしていると熱でやけどをしてしまうのが難点です。私がいるときに声をかけてくださると、体験出来る可能性がありますよ☆(実際、お客様で興味を持った方に教えていたりします♪)
しかし山本さんには、それよりもなくなって欲しいことがあるそうです。
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