万引きは犯罪です
山本善之(くまざわ書店大手町店)
将来的に改善されていくであろう作業を挙げれば「カバー用紙をサイズに合わせて折っておく」「雑誌の付録組み」「コミックをシュリンクする(ビニールをかける)」等地味な準備が沢山あります。しかし個人的に言えばそれらは前向きにお客様を迎えるためであって、なくなれば楽でしょうが作業自体は楽しくてとても好きです。
作業という言葉でくくるのは良くないかもしれませんが、日頃から切実になくなればいいと思っていることがあります。それは万引きへの対応です。書籍がお客様の手に届くまでには多くの人が関わり、販売店の利益は少ないです。その中でも費用をかけカメラや防犯ゲートを導入し警備を雇うのは、単純に放置して発生する損害より負担が軽くて済むからだと言うと書店の痛みの具体的金額をご想像頂けるでしょうか。しかもこれだけかけてやっていることは利益の確保でサービスではない。店員の精神ポイントは削られていく。なくなってほしいです。
確かにその通りですね。万引きについては、質問も頂戴しています。
まんだらけの万引きがニュースになりましたね。小売業で万引きは頭の痛い問題だと思いますが、本屋でもありますか。上手な対処法があれば聞きたい。(神奈川県 40代 男性)
栗原浩一(あゆみBOOKS仙台青葉通り店)
あります。しかもかなり。書店が少なくなっている影響のひとつになっています。以前は自分の読みたい本をという人がほとんどだったと思うのですが、現在は換金目的になっているのでよけいにたちが悪いです。新刊コミックの同じ巻を何冊もとか、人文書の高額な書籍がターゲットになっています。当店では防犯ゲートと防犯カメラを設置しているのと、常に従業員に店内を巡回させて未然に防ぐように気をつけています。
高橋佐和子(山下書店南行徳店)
悲しいことですが、実際に本屋でもあります。現在、45坪という大きさなので、私は、入店された方の目や顔を可能な限り見るようにしています。その時点で、いくつかの情報に気付き未然に防げることがあるからです。「店内の音」も気にするようにしています。どこに何人いてどうされているかを把握出来なくても、意識するようにしています。大手時代は450坪でしたので、把握は難しかったです。私が努力しているのは、「声かけをすること」「お客様の顔を見ること」「何となく目に入ってしまう人」に気を付けることでした。不思議と違和感のある人が意識の中に入ってくるので自分の感覚に注意しています。
たとえ万引き犯を捕まえたとしても、警察に連絡して事情聴取に時間を取られて……となると、本来の仕事が滞るばかりだとか。心ない人のために、書店員さんの体力と精神力が削られるのは、悲しいことです。
三省堂の内田さんからは、「万引きは犯罪です」とコメントが届きました。その通りで万引きは窃盗罪にあたり10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が定められています。犯罪行為がなくなることを祈ります。
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