───なかしまさんの紹介されるおやつとごはんには、どちらも「穏やかでしみじみとおいしい味がする」という共通点があるような印象があるのですが、それは意識していることなのでしょうか?
なかしま 単にお腹が満たされるというだけでなく、気もちの満足感がもてるものを、という点では同じように意識しているかもしれませんね。それからレストランで働いていた頃、オーナーが、「食べた後しばらくしたら、ちゃんとお腹が減ってくるごはんを出そう」ということをおっしゃっていたことが強く記憶に残っていて、わたしもそれを目指している気がします。食べるということは大事なことだからこそ、かえって大げさに考えず、毎日食べたくなるようなふつうのごはんがいいなと思っています。
普段、わたしのお菓子のことを「瞬間的なおいしさではなくて、また食べたい、としみじみ思うようなお菓子だ」と言って下さる方が多いのですが、それはごはんも同じで、「ワッ! と驚くような味」というよりも、「何かおいしかったな」とじんわり後に残るようなごはんであって欲しいという気もちがあります。
───前作『おやつですよ』は発売されてそろそろ一年ですが、ロングセラーを記録しています。お子さんから八十代の方まで、幅広い世代から支持を集めているようですね。
なかしま 流行や勢いではなく、本がじわじわっと長く手にとっていただけるのは、とても幸せなことだと思います。この間は小学生の女の子が「『おやつですよ』を見て、色々作っています」っていう手紙をくれたんです。自分が小さかった頃も本を見ながらお菓子作りに夢中になっていたので、『おやつですよ』がそういう存在になれているのかもしれないと思うとうれしいですね。
───今回もビニールカバーつきで、開きやすさも相変わらず。やっぱり小憎らしいキャラクターが調理のポイントを補足してくれているし、困った時の巻末「百科」ページも健在です。「花嫁修業百科」となっていますが、まさに、嫁入り道具になりそうな一冊ですね。
なかしま 前回は、「普段あまり台所に立たなかったけど、百科で気が楽になりました」と、思った以上に好評だったので、今回も、この本をより身近に感じていただける百科ページを入れたいなと思っていました。読者代表でもある担当編集者が悪戦苦闘しながら試作した際の失敗も入っています。花嫁さんにも、そしてこれから新生活という男性にも、気軽に手にしてもらえて、その日の気分で、どんどん使い込んでいただけたらうれしいです。
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『皇后は闘うことにした』林真理子・著
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