───この本では、全体が「お米のごはん」、「めん」、「パンと粉もの」、「スープ」という四つのカテゴリーに分かれていて、ひと皿で完結するごはんばかりが紹介されています。たしかに「ひと皿だけ作ればいい」と思えば気が楽です。
なかしま 「作らなきゃ」とか「野菜食べなきゃ」だとか無理矢理作るんじゃなくて、その日の気分によって「じゃあ今日はこれひとつ」という風に選んでもらえたらなあと思っています。まずは気もち的に楽なことが大事だなと自分の体験から思っているので(笑)。材料も、「必ずこれでないとダメ」ということではなく、家に何かあまりものや好きなものがあったりすれば、代用したり気ままに加えたりして楽しんで作ってもらえたらいいな、というくらいの融通のきくレシピに仕上げています。
───確かに、「えっ、これだけ?」という風な、あっけないくらいの二、三の手順で、おいしいごはんが出来るので驚きました。
なかしま ありがとうございます。
───やっぱりレシピは何度も調整されるのでしょうか?
なかしま 実はいつも、ぎりぎりまで試作とレシピの改訂をくり返してしまいます。どのレシピも素直な味になるように、より少ない材料、少ない手順で作れるよう、余分なものをどんどん省いていきました。いつも食べているごはんのレシピだとはいえ、レシピを練って突き詰めていくのは、楽しくも難しい作業ですね。それはわたしの感じる「おいしい」と、読者のみなさんの感じる「おいしい」が一致する味になるよう、その一点に向かって調整していく作業。そんな風に試作をくり返しながら、原稿を手放す前に、最後の最後に試作をして、「うん、まとめて食べてもおいしいな」と自分でも思いました(笑)。