最新刊の『壇蜜日記2』(文春文庫)には未収録、この暑い夏の日常を徒然なるままに――。
2015/8/5 晴れ
世間で言う香りつきというのは「極めて特徴的な香りがします」という意味がある。これは当然。無香料というのは「全く香りはしません」という事を強調している。これもおそらく当然。微香料というのは「ほのかに香る」……と言いたいが知覚は人によるからあまりこの表示をお見かけしない。これは……憶測。では商品の匂いについて何も書かれていないから「香りがない」と断定できる……これはちょっと違うようだ。無表示の尻拭きウェットティッシュにもほのかに香りが感じられた。
2015/8/6 晴れ
とある県の海にサメが出たらしい。たちまちその辺りの海は遊泳禁止となり、かきいれ時であろう周辺の商業施設はとんだ災難を被っているようだ。サメが出た……といっても、海は元々サメの領域であり、サメにはサメの事情があって泳いでいるのかもしれない。人間は間借りする程度に海に出入りしているので文句は言えないはずだが、人間にも人間の事情がある。海を通して狙った相手と懇ろになったり、家族の絆を深めたり、泣き濡れてカニとたわむれたかったはずだ。
2015/8/7 晴れ
恵まれていること、いないことは他者と比較してはじめて分かる。この比較行為も差別というのだろうか。他者を傷つけなくても「違うんだと意識する」気持ちが自然と成り立つ……つまり誰にでも差別する感情はあるのかもしれない。差別と区別は違うんだ、ともいうが私にはイマイチ違いが分からない。私にも差別の感情はある。男性に対しては時として妙な拒絶感を持つことがあり、社交的に振る舞うことを放棄してしまう。だから袋にとじられる。袋の中なら安全だからだ。
2015/8/8 晴れ/曇り
ひどく疲れているときは誰にも会いたくない。疲れているままの姿を見せたくないからだ。しかし最近、疲れているから気分転換したい、他の場所に行って発散させたいと思う者が多いという話を聞いた。一人になると余計に疲れを感じるようだ。結婚していたり実家暮らしだったりと「家に誰かがいることが日常」だと一人になりたい気持ちも自然と起きなくなった……実際にできないことだし、という意見も聞いた。一人になって眠りこけ、目が覚めたら朝まで原稿書きと風呂にあけくれる……自己完結しているので、変だと感じない。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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