インタビューほか

京都で勃発!? 「シャーロック・ホームズ譚」見立て殺人!
気鋭ミステリ作家が描く新世代推理劇と〈超人探偵〉とは

「本の話」編集部

『キングレオの冒険』 (円居挽 著)

――名探偵・獅子丸と助手の大河、ふたりは「日本探偵公社」に所属しています。この世界ではどんなふうに犯罪が取り締まられ、探偵には他にどんな人たちがいるのでしょうか。

円居挽まどいばん/1983年、奈良県生まれ。京都大学推理小説研究会出身。『丸太町ルヴォワール』で講談社BOXより長編デビュー。同作は「ミステリが読みたい! 2010年版」新人賞国内編で2位、「このミステリーがすごい! 2011年版」で国内編11位を獲得した。以後、シリーズ作となる『烏丸ルヴォワール』『今出川ルヴォワール』『河原町ルヴォワール』(すべて講談社)、『クローバー・リーフをもう一杯 今宵、謎解きバー「三号館」へ』(角川書店)、『シャーロック・ノート 学園裁判と密室の謎』(新潮文庫nex)刊行。

円居 この世界では探偵は最難関の国家資格で、現衛庁という組織によって厳しく管理されているという設定です(探偵は警察の捜査を正しく導いたり、時に犯罪者を直接捕まえたりもします)。

 しかし現衛庁の主な管轄は首都圏で、単独で日本全国をカバーすることはできません。なので半官半民の企業である日本探偵公社に多くの探偵を任せることで問題を解消しています(ちなみに現衛庁がどのように探偵を育成して、どんな犯罪者と戦っているかについては、今春、新潮文庫nexより刊行された『シャーロック・ノート』をお読みいただけるとその一端が解ると思います)。

 公社の探偵も基本的には現衛庁の探偵と変わりません。しかし公社も企業である以上は利益を追求しなければならず、探偵たちには継続的にある程度の売上を達成することが求められています(世知辛いですね)。その反面、公社に利益をもたらすほど地位が上がっていくという仕組みもあります。中でもトップ10の探偵は十格官(デカロゴス)と呼ばれており、獅子丸はその第三席です。

 なので並の犯罪者では獅子丸の相手になりません。となると獅子丸を満足させられるのは天才的な頭脳を持った犯罪者か十格官ぐらいしかいないわけで……今回はその辺も作品の根幹に関わってきます。お楽しみに。

――最後に、これから本作を読んでくださる皆様にメッセージをお願いします。

円居 名探偵というのは選ばれし存在です。しかしそれは同時に、解り合える者も僅かということを意味します。名探偵は孤独と無縁ではいられないのです。だから獅子丸は近しい者、親しい者のことになると本気になります。まあ、時にそれがいきすぎて、事件より助手の大河の私生活の行方の方が関心事になってたりもしますが……。

 最初は完璧な超人として書き始めた獅子丸ですが、回を追うにつれどんどん人間らしい一面を覗かせるようになりました。その辺の変化は作者である私も書いていて面白かったですね。

 名探偵と助手の関係性、そして選ばれし存在の人間らしい顔を楽しんでいただけると幸いです。

キングレオの冒険
円居挽・著

定価:本体1,150円+税 発売日:2015年06月20日

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