インタビューほか

「本当の自分を知ってもらいたい」

「本の話」編集部

『戦場から女優へ』 (サヘル・ローズ 著)

  でも、敬語や丁寧語しか使えなくて、友だちともずっと丁寧な話し方のまま。タメ口になるまでには、かなり時間がかかりました。たとえば同級生や年下の子にも、「おはようございます」「ありがとうございます」「これ、いただけますか」「お先にどうぞ」、なんです。

   大人になったいまにして思えば、あのとき敬語や丁寧語をちゃんと身につけておいてよかった。ときどき、急にタメ口になったり丁寧語になったり、敬語になったりしますが……。

──それは、日本人でもよくあることです。日本語は難しいですね。

サヘル  同音異義語とか、発音と意味のちがいがよくわからなくて、「執事」と「羊」をまちがえたり、「不眠症」と言いたかったのに「私、不妊症なんです」と言って周りの人にびっくりされたり――。日本語に関する失敗談はたくさんあります。

   中学三年のとき、アパートに八百屋さんがよくクルマで野菜を売りにやって来ました。とても安いので近所でも人気で、遅れて行くと売り切れで何も買えなくなってしまうから、うちも負けていられないということで、ベランダからいつも見ていて、「あ、来たっ!」と言って母とダッシュで降りていって、野菜を買っていたんです。

   いまは大変な経済状況になっていますが、当時、私はニュースで株の動向をいつもチェックしていました。「株価が○○円下がりました」とやりますよね。それで、「お母さん、今日、ニュースでやっていた。カブの値段、下がってるよ。がんばって買おうね」って。株と野菜のカブをずっと混同していたんです(笑)。

「クリサヘル」がドアをあけてくれた

──話は変わりますが、テレビで「滝川クリサヘル」として注目されたころは、「クリサヘル」と呼ばれることに抵抗があったけれど、そこに自分のオリジナリティーを織り込んでいくのもまたプロの仕事なのだと気がついた、とあります。「滝川クリサヘル」のコーナーは終了しましたけれども、ご自身にとって大きなチャンスになったのでは。

サヘル  大切なステップでしたし、出会いでもありました。私を助けてくれたし、ドアのひとつをあけてくれたのが、「クリサヘル」でした。

「クリサヘル」を演じるのがあれほどいやだったのに、じつは、ドアをあける大事な大事な鍵だったんです。いまでは、「滝川クリサヘル」というキャラクターが本当に好きです。「クリサヘルさんですよね。すごく好きなんです」などと言われると、とてもうれしい。

「滝川クリサヘル」を真正面から受けとめ、プロとしての演技ができるよう頑張ったからこそ、「クリサヘル」から「サヘル・ローズ」へと変わることができたのだと思います。

戦場から女優へ
サヘル・ローズ・著

定価:1300円(税込)

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