インタビューほか

「本当の自分を知ってもらいたい」

「本の話」編集部

『戦場から女優へ』 (サヘル・ローズ 著)

──ちなみに、滝川クリステルさんとお会いになったことは?

サヘル  ありませんけれども、私が一人前になったときに番組にゲストとして呼んでいただき、サヘル・ローズとしてきちんとお会いできたらいいな、と思っています。

──ところで、ペルシャ絨毯(じゅうたん)はいまでも織っていらっしゃると聞いていますが。

サヘル  はい、以前と変わらず実演しています。ペルシャ絨毯の展示会にはこれからもずっと出るつもりです。そのスタイルは変えません。なぜなら、展示会が私たちを助けてくれたのですから。「他にいい仕事が見つかったからここでやめさせてもらいます」というのではあまりに都合がよすぎますし、なにより、苦しかったとき私たちを助けてくれた会社の人たちを裏切ることになります。ですから、ペルシャ絨毯はいつまでもやりますし、時間さえあれば、全国どこへでも行きます。母もそのつもりです。

   母はいつも私にこう言います。

「母国の民族衣装と織り機があったからこそ、私たちは生き延びることができたのだから、どんなときも、ペルシャ絨毯と織り機と民族衣装に感謝しなさい」

   ですから、私はペルシャ絨毯を織るときはいつも、織り機と民族衣装に「ありがとう」と言ってから始めます。

   でも、正直なところ、母にはそろそろ仕事をやめて休んでほしい。今度は私が母を養っていく番なので。そのために、いまはひたすら仕事を頑張っています。母にはまず、日本語学校に行って日本語をもっとうまく話せるようになってもらいたいんです。とにかく好きなことをいっぱいやってほしい。

──テレビに出演して知名度もアップしたいま、展示会で織っていると、来訪者にびっくりされたりしませんか。

サヘル  そうですね。でも、自国の文化を紹介している私としては、驚かれるということはそれだけ注目されているわけで、それはそれでうれしいことです。来訪してくださる人に織っている現場を体験していただき、ペルシャ絨毯をつくることがいかに大変なのかを知っていただきたいんです。

   具体的には、一日八時間織って三ミリしか進みません。一週間で約二センチ。ペルシャ絨毯がいかに緻密ですばらしいかがわかれば、母国のことも好きになってもらえるかもしれない。イランがどういう国なのか、ニュースやインターネットでは伝わらない部分もあるので、イラン人の私たちが動かないとイメージアップにはつながらない。その点、展示会は直接会ってお話しすることでイランの文化をダイレクトに伝えられる数少ない場所なのです。これからも、自分のことばかりではなく、自国のこともちゃんと発信していきたいと思っています。

戦場から女優へ
サヘル・ローズ・著

定価:1300円(税込)

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