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志水辰夫 × 北上次郎<br />だから時代小説を書く

志水辰夫 × 北上次郎
だから時代小説を書く

「本の話」編集部

『夜去り川』 (志水辰夫 著)

出典 : #本の話
ジャンル : #歴史・時代小説

北上  そういう町が好きということではないんですか?

志水  江戸は皆さん書いているし、自分が書かなくてもいいかなと思ってるんです。新味がないというか、他の作家がやっていないことをやろうと思うから。昔からちょっと外れたことをするのが私なんで(笑)。

北上  ということは新作を書くときは、まず舞台から決めるということですか。すると、舞台によって作品がかなり変わってきますよね? たとえば今回の上野は、渡良瀬川があって、足尾で銅山が発見されて栄えた。それが寂れて、次に養蚕と織物が盛んになったという背景があります。土地の性格がまずあって、人々の暮らしがあり、そこから人間像が生まれてくるわけですから。

志水  それが面白いんですよね。いろいろ調べているうちに、意外と知らないことがあって、これはいけるなぁとなってくるんです。

北上   土地を決めればその土地のドラマがあるわけですから、それによって自動的に年代も決まってくるんですか?

志水  年代は幕末に絞っています。ただしまったく同じ年にはせずに、作品ごとにちょっとずつずらしています。1850年くらいから明治維新の1868年、そのあたりをずっと書いていこうかと。ただ歴史的事実、背景は史実を踏まえます。そうして時間軸を押さえた上で、人間や設定はあくまでもフィクションで、物語を自由に動かすんです。

北上次郎
志水辰夫

夜去り川
志水 辰夫・著

定価:1700円(税込) 発売日:2011年07月27日

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