2014.09.10 インタビューほか

消えた仮想通貨を追え!
公安捜査のリアルを描くシリーズ最新作

「本の話」編集部

『警視庁公安部・青山望 濁流資金』 (濱嘉之 著)

消えた仮想通貨を追え!<br />公安捜査のリアルを描くシリーズ最新作

濱嘉之氏

公安捜査の実態を描いて大人気の「警視庁公安部・青山望」、シリーズ待望の最新作『濁流資金』が9月2日に発売された。本書で繰り広げられる事件の見どころと、人物像の注目すべき点について著者が語る。

 青山望シリーズの特徴は様々な手法の殺人事件から始まるというところです。その犯行手口が事件全体への意味合い、そして事件解決のヒントになっているのです。

 実際に似たような手口による事件が現実に発生しているようですが、現実ではどうして犯人が捕まらないのか……そこを読者の皆様も一緒に考えていただきたいと思うのです。

 一方で仮想通貨の利用がこれからの電子化が進む社会生活にどのような影響を及ぼすのか……。ふと手にする便利なものの裏側に潜む危険が今回のテーマの一つです。

 犯罪の種類はたくさんありますが、その中でも必ず犯人が直接手を下さなければならないところに、解明の糸口が潜んでいるのです。

――今回の作品も、仮想通貨や薬物汚染など、現実の社会で起きている最新の事件をテーマに取り入れていますが、やはり警視庁公安部ご出身である濱さん独自のネットワークによる取材というものは反映されているのでしょうか。

 取材は常に行っています。

 テレビ、ラジオのコメンテーターや各紙誌でも様々な事件や政治問題に関して論評を行っている関係上、事実を正面からだけでなく裏側から見る習慣は役立っています。

 警察で培った人脈に加え、リスクマネージメントのコンサルティングや、国会議員秘書を経験したことで人的交流の場が広がったことは大きいです。

 その際にも、今なお、様々な事象の本質を考えながら、モノを見る目を養おうと努めています。

――本シリーズの大きな魅力に、主人公である青山と、彼を助ける警視庁警察学校の同教場だった3人の同期の絆があります。同期カルテットが独自の情報をやりとりしながら、事件を解決していくというスタイルを思いつかれた経緯をお聞かせください。例えば、濱さんの警察官時代の実体験に基づくとか、あるいは濱さんのお好きな小説にヒントを得たとか。またそれぞれにモデルが存在するのでしょうか。

 同期カルテットに関しては、この小説の執筆依頼を受けた時に編集者の方々と話しながら決めました。

 警察という組織は仕事の内容が多岐にわたっています。十数年前までは他省庁同様に縦割り行政の弊害があったことは確かですが、各部署が独自で保有していたシステムを統合するようになってから、次第に垣根を超えた仕事を進めることができるようになっています。これは、政治の世界でいえば内閣官房長官が各省庁にまたがる事案を調整するような形ができつつある結果だろうと思います。

 刑事、組対、公安という一見バラバラな組織でも、発生した事件の裏ではつながっている場合が多いのです。このため警視庁では各部の参事官(警視長)が他の部を兼務することによって情報交換を行うようになっていますが、やはり現場の連携が大事なのです。

 実際に公安と捜査二課、組対は情報交換を行っています。どの組織も「社会正義の実現」という大義は同じなのですから、シマ根性を捨てて事件の根底を暴く必要性を重要視する傾向はさらに強くなっています。

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警視庁公安部・青山望 濁流資金
濱嘉之・著

定価:本体640円+税 発売日:2014年09月02日

詳しい内容はこちら

警視庁公安部・青山望 機密漏洩
濱嘉之・著

定価:本体680円+税 発売日:2013年08月06日

詳しい内容はこちら

警視庁公安部・青山望 報復連鎖
濱嘉之・著

定価:本体676円+税 発売日:2013年03月08日

詳しい内容はこちら

警視庁公安部・青山望 政界汚染
濱嘉之・著

定価:本体695円+税 発売日:2012年03月09日

詳しい内容はこちら

警視庁公安部・青山望 完全黙秘
濱嘉之・著

定価:本体660円+税 発売日:2011年09月02日

詳しい内容はこちら



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