関塚流リーダー論の集大成

 関塚さんは、U-23世代を「まだ発展途上にいる」と繰り返し述べている。1つ前のオリンピック、北京大会では、日本は3連敗しグループリーグを突破できないという屈辱を味わった。しかし、今、日本のサッカーのトップにいるのは長友、本田、岡崎、香川など、北京オリンピックに出場した選手たちである。彼らは北京での挫折があったからこそそれをバネにして大成したのだ。関塚さんはあとがきで「我々のチームに対する本当の評価が下されるのも、もっと先の将来のことなのではないかと感じる」と書いているが、その通りであろう。4年後、彼らが飛躍している保証はない。しかし、最後にメキシコと韓国に負けたことで選手に充足感はなく、ストレスも残っているはずだ。それが今後の伸びしろにつながるのではないかと私は思っている。

 関塚さんはこれまでメディアで多くを語ることを控えてきた。誤解されたくない、ということもあったかもしれない。話すときはこのようにひとつ何かが完結したときにまとまった形で見せたかったに違いない。集大成といえるこの本から我々が学ぶものは大きい。

 サッカーに携わっている人にとっては、より広くサッカーを見る必要性に気づくきっかけとなり、それ以外のビジネスリーダーにも社会でヒントになることが詰まっている。また、サッカー界に限らず若手諸君には、自分が何を求められているのか、素晴らしいパフォーマンスを発揮するためにはどうしたらいいかが分かる1冊である。

見て、話して、ともに戦え

関塚 隆・著

定価：1260円（税込） 発売日：2013年02月23日

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