- 2015.06.04
- 書評
最新の科学研究から導き出された
希望を達成するためのテクニック
文:森嶋 マリ
『5年後の自分を計画しよう 達成する希望術』 (シェーン・J・ロペス 著/森嶋マリ 訳)
ジャンル :
#趣味・実用
とはいえ、夢破れて、希望など持てるわけがないとはなから諦めている人もいるかもしれない。それでも、心配はいらない。本書には、希望を見つける方法はもちろんのこと、自分が希望を抱くだけでなく、それを周囲の人に広める方法まで丁寧に解説されている。
“人は明るい未来を思い描ける”と主張する著者ではあるが、思い描くだけでその未来が手に入るとは言っていない。そこが、書店の自己啓発コーナーで幅を利かせている“ポジティブ・シンキング”を推奨するあまたの本と、本書が大きく異なる点でもある。明るい未来を思い描くこと、つまり、希望を抱くことも重要なら、その未来をつかみ取るためにすべきことをじっくり考え、計画を立て、実行することも重要、いや、そうしてこそ希望を抱く意味があると言っても過言ではない。
・目標に到達する道は何本もある。
・だが、ひとつとして障害がない道はない。
本書に記されたこの短いふたつの文だけでも、 “ポジティブに考えるだけで、すべてはうまくいく”と繰り返す自己啓発本とは一線を画しているのが、おわかりいただけるだろう。目標に向かって前進しようとすれば、かならず障害が出現する。そこでもまた、希望が重要な役目を果たすのだ。希望を抱くことで、アイディアが次々に浮かび、ひとつの道が閉ざされても、べつの道を思いつく。希望によって、人生のプラスのループに入りこめるというわけだ。そのループは万人に開かれている。子供や学生だけでなく、社会人も主婦も、希望を抱く人すべてが入れる。一流大学を出ていなくても、ずば抜けて頭脳明晰でなくても、希望は抱ける。希望をかなえるべく、具体的な目標を設定して、その目標に到達するための計画を立て、努力をする――それは誰にでもできることなのだ。
多くの人が生まれながらに持っている明るい未来を思い描く能力、そして、いい意味での楽観性を余すところなく発揮するために、本書が一役買ってくれるのはまちがいない。ポジティブな考えをただの夢や高望みに終わらせることなく、あらゆる場所でより良い人生の原動力となる希望の力を、ぜひとも多くの方に実感していただきたい。
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