- 2014.11.17
- 書評
卒業アルバム時点で離婚率がわかる!?
未来を見抜く、外見の「手がかり」
文:森嶋 マリ (翻訳家)
『卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学』 (マシュー・ハーテンステイン 著/森嶋マリ 訳)
ジャンル :
#ノンフィクション
幅広顔、ウエストとヒップの比率……驚きの「手がかり」
本書では著者自身がおこなった研究以外にも、私たちが気づかずにいる外見と内面を結びつける手がかりの実験が数多く紹介されている。たとえば、フォーチュン五〇〇の企業の男性CEO五五人の写真を調べた研究では、顔の幅と長さの比率、すなわち、顔の「幅広度」と会社の業績に相関関係があるという結果が得られた。顔の幅が広いCEOほど、会社を巧みに経営する確率が高いというのだ。思わず自分の会社の社長の顔を思い浮かべた方も多いのではないだろうか。
また、男性が恋人候補の女性に求める重要な手がかりのひとつは、ウエストとヒップの比率である、という研究結果には思わず目をむく方もいるだろう。世の男性はみな、ヒップに対してウエストが〇・七以下の女性を好ましいと感じることが、多くの調査で判明しているというのだ。あまつさえ、ウエストを細くする整形手術を受けた女性の、手術前後の写真を男性に見せて、彼らの脳をMRIでスキャンしたところ、「アフター」の細い砂時計体型を見たときのほうが、脳の快楽の神経系が活性化したという。
本書が二〇一三年にアメリカで刊行された際には、『フォックス・ニュース・チャンネル』や『ウォール・ストリート・ジャーナル』に著者が登場し、新聞書評でも多くの賛辞が寄せられるなど、大いに話題になった。それは、私たちがぼんやりとしか理解していない容姿と中身の相関関係について、コントロール群と非コントロール群にわけた圧倒的な数のサンプルを調査するという、科学的な対照実験の結果が説得力をもって展開されていたことによるところが大きい。
著者のハーテンステイン氏は日本での出版と同時に、フジテレビの『とくダネ!』の取材を受け、出演陣らの卒アル写真を見て、離婚しそうな人の写真を指摘するなど、さっそく大きな話題を呼んでいる。ぜひ、「予知の心理学」の驚くべき世界を本書で感じてみてほしい。
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