椅子の上で転げて『ゴメンナサイ~』
千代大海(現・佐ノ山親方、98年11月12日号)は、2時間取材時間をもらえる約束だったが、部屋に入ってくるなり、「あと30分したら整体に行くから、それまでに」と宣言。
「30分後、本当に付け人が迎えに来ました。でも、そのときには話が盛り上がり、千代大海もノリノリ。結局、当初の約束どおり2時間の対談になりました」(前出・3代目担当)
佐ノ山親方が、当時を思い出し、こう語ってくれた。
「阿川さんの人柄がそうさせたのではないでしょうか。話をしていくうちに、うまく乗せられてしまった。一つ一つの質問が斬新で知的で、本当に聞き上手。とても心地よい時間でした」
一方、最初から阿川さんにメロメロな対談相手も多いという。
気難しさで有名な、当時住友銀行頭取だった西川善文(00年8月31日号)がそうだ。彼が経済誌でもない週刊誌の取材を受けること自体が異例。それだけではない。頭取室に入ると最初から表情が緩んでいた。
「金融関係の難しい話をした西川さんが、『阿川さん、分かります?』と聞いたら、椅子の上で転げて『ゴメンナサイ~、分からないんです~』とやった。それを見た瞬間に西川さんはデレデレに。後日、会食に呼ばれましたが、『あの瞬間にね、あぁ好きだなぁ、この子。タイプだなぁって思ったんだ』と阿川さんに告白していました」(5代目担当)
読売新聞主筆の渡辺恒雄(98年5月21日号)も同じ。2人で並んで撮影する際、「肩抱いてもいいのかな。チューしちゃだめなのかな」とはしゃぎだした。
「仕舞いには、定期入れの中から、奥さんの若い頃の写真まで見せてくれた。ナベツネさんがそこまでサービスしてくれるなんて、考えてもいませんでした」(前出・3代目担当)
人気絶頂だったシャ乱Qのつんく(96年12月19日号)は、事前に阿川さんのプロフィールを所望。3代目担当者は悩んだ挙句、「独身」とは書かなかったが、つんくの興味はそこに集中。
「『プロフィール見たんですけど、肝心なことが書いてないんですよ。阿川さんって独身なんですよね。結婚する気はないんですか、俺なんかどうですか』と、ちょっと本気で阿川さんに迫っていました」(同前)
連載は今週が952回。来年には1000回を迎える。阿川さんにその思いを語ってもらった。
「各担当編集者の方々には、多々ご迷惑をおかけしました。でも、みなさんのお陰でここまで参りました。そう感謝の気持ちを込めつつ、今後も私を褒めてくださいね。いっぱい働くから(笑)」
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