書評

宇宙的肯定

文: 小川洋子 (作家)

『本・子ども・絵本』(中川李枝子 著 絵・山脇百合子)

『本・子ども・絵本』(中川李枝子 著 絵・山脇百合子)

 “……正しい日本語がいちばんよく通じるということです。なぜなら、子ども自身が正しく話そうとしているからです”

 正しい言葉によって組み立てられた舟でしか、言葉の届かない場所へ漕ぎつくことはできないのかもしれません。

 長年、保育園にお勤めされた経験を持つ中川さんは、“絵本を読みながら子どもひとりひとりをしみじみと眺め、心の底から、ああ、何て良い子だろう、可愛いんだろう”と感じ入ったそうです。ここを読むと、遠い昔に去ってしまった自分の子ども時代も、後悔ばかりの母親としての経験も、全部が許されたような気持になります。例外なくかつては子どもだった読者の方々も、やはり中川さんの許しに包まれることになります。それどころか、全世界の子どもたちが皆、愛されているのです。

 “子どもがいなくなったら地球はおしまいです”

 これほどの真実をついた言葉を、私は他に知りません。

本・子ども・絵本中川李枝子 絵・山脇百合子

定価:本体680円+税発売日:2018年12月04日


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