- 2019.06.28
- インタビュー・対談
担当ディレクターが語る、西田敏行と竹下景子を泣かせたNHKラジオドラマ『閉店屋五郎2』の魅力。
原宏一の人気シリーズ『廃墟ラブ』が待望のラジオドラマ化!
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#エンタメ・ミステリ
名優・西田敏行さんと竹下景子さんを泣かせた名作が、ラジオドラマとして再び戻ってきた。
昨年8月に、ラジオドラマ「新日曜名作座」(NHKラジオ第1、毎週日曜夜7時20分から)で放送された『閉店屋五郎』の続編『閉店屋五郎2』(原作『廃墟ラブ 閉店屋五郎2』 原 宏一著)の収録が終わり、6月30日から、オンエアーされる。
西田さんが演じる五郎の仕事は、倒産した会社の店舗の備品を引き取り、中古で販売する「閉店屋」。オフィス機器や厨房機器などを買い取って、売りさばく商売をしている。
竹下さんは五郎の娘・小百合や、元妻の真由美、各話で登場する女性ヒロインを演じている。
「閉店屋五郎シリーズ」2作をラジオドラマ化したNHKの担当ディレクターである小島史敬さんが、この物語の魅力を語ってくれた。
楽しさと苦しさの合計は、誰の人生でも変わらない。
原作となった『廃墟ラブ 閉店屋五郎2』は、3話からなる中編集。今作も五郎は、3人のワケアリ女たちに振り回される。
第1話「バリケード本店」では、スーパーチェーンを経営する美人社長に五郎が惚れる。
第2話「廃墟ラブ」では、倒産したラブホテルのラブノートの心中をほのめかす書き込みを読んだ五郎が、女性の行方を探そうとする。
第3話「スリーチートデイズ」は、元レースクイーンの未亡人社長とともに、五郎が秋のみちのく路へと赴く。
一人娘・小百合の結婚話や、元妻・真由美の消息に五郎はやきもきして……。
小島ディレクターは、この原作に惚れこんだ理由をこう語る。
「西田さんの五郎と竹下さんの小百合は、原作『廃墟ラブ』のカバーイラストのように、あたたかな雰囲気に包まれていました。
原宏一さんが小説で書いているように、閉店するお店には、それぞれ物語があると思うんです。作中には、『使ってきた物には人の生き方が映る』という表現がありますが、まさにその通りです。
『スリーチートデイズ』ではいい場面があって、こんなやり取りがあります。
未亡人社長の良江さんが、タクシー会社をたたむことになり、五郎が買い取り撤去にむかいます。そこで、事務所の壁掛け時計やカレンダー、ボールペンに、取引業者の名前が入っているのを見て、良江社長の『生き方』や『人生』を五郎は感じるんですよね。そして五郎は良江さんに、こう語りかけます。
『人生って奴はプラスマイナストントンなんだろうな。楽しさと苦しさの合計は、誰の人生でも変わらない』
それを聞いた良江さんは、五郎にこう答えます。
『楽しさと苦しさの合計……。いいお仕事ね、中古屋さんって。人の思いも撤去している五郎さんは、店仕舞いならぬ、思い仕舞いの役割も担っているんじゃない?』
お店を閉める経営者は果たしてどんな気持ちなのか。その思いまで引き受けようとする五郎は、とても魅力的なキャラクターですし、こんなにおせっかいな人は現代にはなかなかいないでしょう。まぁだからこそ、いろんなトラブルに巻き込まれていくわけですが(笑)」